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俺が本気だせない理由

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俺が本気だせない理由

俺は田村大輔。好きな食べ物はカレーライス。

はっきり言って俺の偏差値は33だ。

俺の家には父さんと母さんとばあちゃんがいる。俺がこないだ高校の英語のテストで0点取ったのもばあちゃんが痴呆(ちほう)いや、にん…にん…ええと何だっけ?にん…まあ、つまり、ボケているから、それが関係している。ばあちゃんの通っているデイサービスのスタッフさんの一人がホリが深いらしくて、日本人なのにばあちゃんは外人だと思っているらしい。
 俺の高校は大学を行くなんてレールをひかれた人生を嫌う奴らの集まりだから、テストは先生が、

「この1ページのプリントの中からしか出題しないですからね」

と、そういうシステムになっている。その1ページを暗記しさえすれば100点が取れる。でもばあちゃんがホリの深いデイサービスの職員に恋をしていて、俺の机の上に置いてある英語の出題プリントを、
「ラブレターフォー・ユー」
と言って、職員に渡してしまうのだ。そのラブレターのタイトルは確か、
”I suffer  from  diarrhea  in  Malaysia.“だ。
 先生はこんな俺に、
「こんなテストで0点を取って私はこれ以上どうすればいいの」と言ってきたので、
「日本人にホリの深い外人顔が増えて生きにくくなった。すべてはそれが理由」
 そう言ってやったら、先生は俺のかあさんに俺のカウンセリングを勧めたらしい。母さんは、
「どこも問題はないんです。こういう性格なんです」
と、何度も頭を下げていた。
 
 こんな俺でもリスペクトしている人がいる。テルマエロマエで大活躍した、イカ八郎だ。あんなハイボイスだ出るという事は器がでかいという事だ。
 俺は毎日、いつか天下を取るために、イカ八郎の声のまねを毎日かかさず、練習している。
 もう一度言うが、俺の偏差値は33だ。
 
俺はそんな小っちゃいことを気にしない。なぜなら俺は天下を取って、日本を素晴らしい国にする。すべての税金をなくして、学校の通知表もなくして、選挙の結果はどれだけ高い声が出るかで当選が決まる政治にしたい。
 
だからみんな待っててくれ。
 俺が日本の大統領になるまでは。
                          (THE END)
作品名:俺が本気だせない理由 作家名:松橋健一