小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

SAⅤIOR・AGENTⅡ

INDEX|172ページ/172ページ|

前のページ
 

エピローグ



 それから数日後。
 私達は2年生に(兄貴と大神さんはギリギリで)進級した。
 そしてもう1つ朗報があった。5組に転校生がやって来た。レンだった。
 レンは見習いから正式なセイヴァー・エージェントとなり、この桜星町に着任した。
 そして……
「………」
 私達は空いた口が塞がらなかった。
 保健室の中央の席で私と兄貴の目の前でレンと塩田さんがイチャついていた。
 ここ数日……、って言うか再会してからずっとこんな感じだった。
 ちなみにレンの住居も兄貴達のマンションになったんだけど、引越しの手伝いの時も引越しした後も毎日のようにレンの部屋に訪れては家事をしていた。
 ましてやセイヴァー・ベースでもベタベタベタベタ……、気持ちは分からなくないけど、正直引いていた。
 するとベットに座っている不和さんが言って来た。
「毎日毎日……、ホント良く飽きないね」
「任務に支障が無ければ問題ないだろう」
「ま、オレ様には関係ねぇけどな」
 その脇で腕を組みながら立っている大神さんと、タブレットを持って反対側のベットで寝転んでいる三葉さんも言って来た。
 しかし私の横で缶コーヒーを飲んでいる兄貴は眉間に皺を寄せて眉を引くつかせていた。
 もてない(もててない訳じゃないけど)男の嫉妬だな……、全くもてないって訳じゃ無いけど。
 このままじゃブチギレて飛びかかろうとするんじゃないかと思った私は話題を変える事にした。
「そ、そう言えば今思い出したんですけど……、エイリアン・ハンターってどうなったんですか?」
 私はテーブルで仕事をしている里中先生に尋ねた。
「そうね……、この前聞いた話じゃ、葛西さん達は今は大人しく療養してるわよ……、勿論異星人に対して風当たりは強いみたいだけどね」
「ったく、あいつ等なんかほっときゃ良かったんだよ」
「ちょっと兄さん、あの人達も被害者なんだから……」
「ケッ!」
 兄貴は舌打ちしながら不貞腐れてしまった。
 ちなみにもう1人の黒幕である浦木は残念ながら助からなかったらしい、ほぼ即死だったと言う、自業自得と言えばそうだ。
 私は以前里中先生から地球人と異星人が平和条約を結ぶのは1000年早いと言われた意味が良く分かった。
 そんな事を考えていると今度は不和さんが言って来た。
「……でも、これで終わりなのかな?」
「何がだ?」
「オメガだよ、2回も計画潰しちゃった訳でしょ? 報復とか無いわよね?」
 私の中に不安があった。
 1度目は惑星地軸変動破壊兵器ディザスターの実験、そして今回である2回目は宇宙の支配権を握る事……、ここまでやられて黙ってるはずは無い。
 それを言うと周囲は暗い顔になった。どうやら皆も考えていたようだ。
 すると里中先生が立ち上がって振り返って言って来た。
「その事に関してだけど……、皆に新たな任務が下ったわ」
「えっ?」
「いや、任務と言うか……、正確に言うと独断で指揮を取ってしまった私の命令違反って事になるんだけどね」
 里中先生は頬を掻きながら言った。
 里中先生が受けた支部本部からの命令は『全セイヴァー・エージェント集結でへヴィ・ウォーカーから支部を守れ』だった。
 不破さん達がバクマ星人と戦うのは仕方が無いとしても、でも兄貴と見習いであるレンを勝手に出撃させたのはあくまでも先生の独断だった。
 結果がどうあれ違反は違反、前回はセイヴァー・ギアの設計図を渡すだけで終ったけど、今回はそうも行かないらしい。
「オメガに関しては宇宙連邦軍も本腰を入れてマークする事になったわ、ただ何かしらの報復を狙ってこないとも限らない……、だから皆には対オメガ部隊の一員として私の指揮下を離れ、地球支部本部直属のセイヴァー・エージェントとして活躍してもらう事になったわ」
「はああっ? ちょっと待てよ、そんな勝手な……」
「そうね、そこは私も反省するわ……、本当にごめんなさい」
 里中先生は頭を下げた。
 確かにあの場はそうするしかなかった。
 もしアブラムやオメガ達を逃がしたらさらにとんでもない被害が出ていた。
 それを食い止めたと言えば格好がつくけど、命令違反は命令違反だった。
 兄貴が顔を顰める中、不和さんが言って来た。
「じゃあ、皆離れ離れになるの?」
「そうじゃないわ、地球支部本部直属って言ってもここから離れる訳じゃ無いわ、あくまでゲートを使って各地で活躍して欲しいって事よ」
「……何だ。そうだったのかよ、寿命縮まったぜ」
 兄貴は溜息を零した。
 一応学生だから平時の時はこの学園に通いながらと言う事になる、勿論高校は義務教育じゃないし、支障が出る場合は辞めてもいいそうだ。
 ただ配属先になる地球支部本部直属となると今までの数倍忙しくなるらしい、しかも今までと違い皆で組んで戦えなくなる可能性もあると言う事だ。
 つまり桜星町近隣一帯だけと言う訳にはいかなくなるらしい。
「じゃあ、兄さん達がいなくなったら……」
「そこにいるじゃない、レン!」
 里中先生は白衣のポケットの中からある物を取り出した。
 それはセイヴァー・エージェントの紋章が描かれたバッジだった。
 それをほおって投げるとレンはそれを受けとった。
「貴方のサポーターよ、名前はつけておきなさいね」
「名前か……」
 レンはしばらく考えた。
「じゃあ『ノヴァ』だ」
「ノヴァ?」
「オレの星の言葉で、『恵』だ」
「まぁ!」
 塩田さんは頬を赤めて喜んだ。
 私生活任務混同で塩田さんか! ってか良いのかそれ???
「しばらくこの辺一帯の治安はレンに任せるわ、そしてタクミ君達は今後本部直属セイヴァー・エージェントとして励むように」
「「「「「了解」」」」」
 兄貴達は立ち上がって敬礼をした。
 この時の私には分からなかった。
 これから私達の運命をかけた激戦がはじまると言う事を……