自分の心を食べられたなら
自分の夢を食べてみよう
心にかかった虹を掬って
ひとかけら口に含んでみる
ふわふわの綿飴の味がするのかな
自分の心を食べられたなら
自分の悲しみを食べてみよう
涙雨を柄杓にくみ上げ
こくりと喉を小さく鳴らして
しょっぱい海の味がするのかな
自分の心を食べられたなら
はじける喜びを食べてみよう
ポップコーンの跳ねまわるステージで
踊りながらあたりを飛んで
甘いサクサクの触感に笑おう
心を食べつくしたぼくは
無力に佇みただ生きるだけ
外から声をかけられても
冷たい水面は凍りついたまま
水の消えるを待ち続ける
自分の心を食べられたなら
自分の心をじっと眺め
そっと笑って立ち去ろう
作品名:自分の心を食べられたなら 作家名:九宝 阿音清