ihatov88の小咄集
10泳げ、イタジマ! 5/3
オリンピック日本代表の板嶋は平泳ぎの選手、世界ランクも堂々の一部でお茶の間の人気も絶大。今回のオリンピックも当然金メダルをとるだろうと大きな期待が寄せられていた。
見た目もカッコいい、そして彼のセリフは世界中の人をジーンとさせる。今回も結果見事に金メダル!ニッポン中の感動を金メダルに詰めて帰ってきた。
帰国後のパレードで国民に大歓迎されるイタジマ。その後の古巣のスイミングスクールを凱旋訪問した時に、将来のイタジマを目指すちびっこたちに質問攻めを受ける。帰国直後の疲れを見せずにこやかに応える辺りがさすが世界のトップアスリートだ。
自分が泳ぐことで将来の水泳界のホープを発掘するのも彼の役目の一つ、彼はそんな気概をもって競技に取り組んでおり、その姿勢は世界の模範となっているのはいうまでもない。
「それでは、次の質問は」
司会のお姉さまの声で一斉に手を上げるちびっこたち、そこであるちびっこが質問をした。
「イタジマさんはどうして平泳ぎの選手になったのですか?」
無邪気なちびっこに対し、この質問だけにはちょっと恥ずかしそうにこう答えた――。
「実はね僕、クロールできませんねん……」
天は二物を与えないのか?
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔