小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

アナザーワールドへようこそっ!  第二章  【035】

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「そして、その噂が人づてに流れて、いつしか南地区(サウスエリア)には…………『人間族が使わない魔法が存在する』っていう噂に変わったってわけ。でも、シーナの話を聞いてビックリだよ、本当にあるとは信じてなかったからさ、わたし」

 と、アイリは舌を出して、『テヘペロ』という『かわいい娘だけが許されるしぐさ』をしてくれた。

 ご褒美、ありがとうございます。

「……そうなんだ。じゃあ、アイリにはついでにちゃんと言っておくわね。この今言った『人間族が使えない魔法』というものの正体、それは…………『精霊魔法(スピリット)』のことよ」
「せ、『精霊魔法(スピリット)』……?」
「そう。そして、わたしとお兄ちゃんが持っている力は、その『精霊魔法(スピリット)』とはまた『別物』なの」
「ええええええーーーーっ!? べ、『別物』?」


 アイリ、思わず絶叫。

 顔や声に出さなかったが、俺も心ではアイリと同じ状況だった。

『南地区(サウスエリア)』のこと、『精霊魔法(スピリット)』のこと…………シーナ、いつの間にそこまで。

 シーナのこの『半分真実』と『半分ハッタリ』を混ぜたような『交渉術』に、俺はただ感心させられるばかりだった。


「そう、『別物』。だから、わたしとお兄ちゃんは、この『力』の正体を暴くため、二人で南地区(サウスエリア)を出て、中央区(セントラル・エリア)」にいる『リサ・クイーン・セントリア女王陛下』へ相談に行ったの……そしたら、女王陛下から『この力は国としても重要な力だ』って認められて、それで、『王立中央魔法アカデミー(セントラル)』へ『特別招待生』として招かれたってわけ」
「そ、そうだったんだ……」

 アイリは、シーナの話に完全に…………飲み込まれたようだった。

「そういうことだからアイリ……ごめんね、いろいろ隠してて。でも、これがわたしとお兄ちゃんの『ここにいる理由』よ」
「そうかー……そうだったんだね…………わかったよ、シーナ」
「アイリ……」
「わたしもその『力』の正体、調べるの手伝ってあげる。こういうのは一人より二人、二人よりも三人……多いほうがいいものでしょ?」
「そうだね、アイリ……ありがとう、助かるわっ!」

 と、シーナは快諾。

「でもさ、その『力』……学校(アカデミー)では秘密にするんでしょ?」
「うーん、そうしたかったんだけど…………生徒会のあの行動を見たら、どうしたらいいか、正直、少し迷っているところでもあるの」

 そう言うと、シーナはため息をついた。

「ふーん、そうなんだ……じゃあ、まさに今日のテーマ、『緊急生徒会対策会議』なんだね。よーし、それじゃあ、次はその本題の話をしましょ? ちょっと失礼……」

 と、アイリがおもむろに席を立つ。

「んっ? アイリ、どこ行くん…………痛てててっ!」

 俺がアイリに声をかけようとしたら、シーナに『頬つね』をされた(久しぶりっ!)。

「バカね、そんなの聞かないでよ。どうして、そう、鈍感なの?」

……んっ?

 あ、そうかっ!

 トイレ……ね。

「女の子がそんなの口に出して行くわけないでしょ? バカ」

 ごもっとも。

「それよりも……今の内にお兄ちゃんにも話があるの、今の『南地区(サウスエリア)』についての話よ」
「お前が、今朝、入学式前に『あとで説明する』って言ってたやつか?」
「……そういうこと」


 アイリがエチケットルームへ用事を済ましに行っている間、俺はシーナから『南地区(サウスエリア)』についての…………『真相』を聞かされた。