てきすと1
暇つぶしではじめたツイッターとやらについ先ほど起きた出来事を書き込んだ。わたしの乗った電車がピンポイントで止まるとはさすがわたし。不思議な力を持ってる。ただ学校に遅刻してしまうのは嫌だ。
あともうひとつ嫌な事がある。さっきからはす向かいに座った同じ学校の生徒がこっちをちらちらみてる。わざわざ存在をアピールするかのように、たまに咳払いなどをして。
「けほけほ」
わざとらしいなあ。わざとらしい。だからわざと無視を決め込んでた。
すると痺れを切らしたかのようにその生徒が立ち上がりこちらに向かってきた。「小夜子ちゃんおっはよー!一緒の電車に乗ってたんだ、奇遇だね!」
うっさいって、声でかいんだよもう。
「あなた誰だっけ?」
「わたしだよ!!朝倉あさき!!もう高校も二年になって長い付き合いじゃん!!いい加減覚えてくれないかな!?」
「ごめん知ってる知ってる。わたしが(誰だっけ?)っていうのも恒例じゃん。いい加減慣れてくれないかな」
もちろん本気で名前を失念などしていない。この子は朝倉あさき。何故かわたしに寄って来るちょっと、いや割りとうっとうしい同級生だ。
「あ!さ!く!ら!あさきです!!小夜子ちゃんちょっと手出して!!」
手?意図がわからなかったがそういわれてわたしは反射的に手をこいつに差し出してしまった。それが失敗だった
「ちょ、何何?」
「こうすれば覚えるよね!!」
あさきはとてもいい考えを思いついた子供のように得意気に言いながら私の手をとり、ポケットからすばやくサインペンを取り出しすばやく(朝倉あさき)と書き込んだ。
・・・しばし呆然とした。何をしてくれているんだこいつは。
「ちょっと、それかして」
「ペン?いいよ」
あさきからの手から乱暴にサインペンを取ると、その手にできるだけ目立つように大きく書いてやった
(バカ)
「ちょっとちょっと、何をしてくれてるのかな!?こんなんはずかしいんだけど!?」
怒り出すあさきを無視してその手にサインペンを押し付けた。
「わたしもはずかしいんですけどね」
できるだけ憎々しげにわたしの手に書かれた(朝倉あさき)という文字を眺めながら唸ってやる。
「名前とバカじゃ全然違うじゃん!!こんなん学校いけないよ!」
「いいんだって(朝倉あさき)と(バカ)はわたしの中でイコールなんだから。おあいこ。」
「さすがにひどくないかな!?確かに成績は良くないけど、これなかなか消えないんだよ!!」
あさきは元々おおきい声を更に張り上げる
「なかなか消えないのかい、最悪だわ」