逍遥
公園には砂場があった。木枠で囲まれた小さなスペースには、ほぐされた砂がぎっしり詰まっている。山の面影があるのはきっと、子供たちが昼間に作ったものだろう。雨が降る前はもっと大きかったに違いない。彼等は決して本物の山を作ろうとしているわけではないのだから。
それから、山を作った後はあのブランコに乗ったのかもしれない。初めは椅子に座って。だけど、だんだん風を切るのが楽しくなってきたら、今度は椅子に立って。それはまるで、風と遊ぶ感覚と似てはいないか。夢中になっていると時間も忘れて、ふと時計台に目が留まると、三時を過ぎていることに気付く。そして慌てて家に帰っていく。
私はあっという間に藍色が濃くなってしまった空を見上げ、すっかり軽くなった体を持ち上げ、公園を後にした。