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【青エク】(サンプル) COME SEE ME

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神の宿る樹





   双子は湖の怪物に走り寄ると、それぞれが手にしたナイフで怪物の心臓を貫いた。怪物は最初は東に、そして南、西、北にぐらりぐらりと揺れ、そして最後に北東へ倒れた。



 その人は、今まで会ったことのない感じの男だった。
 背中まで伸ばした黒い髪は後ろで一本に纏められている。目は深い焦げ茶色。少し面長な顔に、意志の強そうな太い眉、大きな口。優しげな笑みを浮かべた男だ。顔の細さに似合わない太い首の下には、鍛え上げられた筋肉がコートを押し上げている。その腕っ節の強さは、無造作に捲り上げられた袖から覗く、太い前腕からも伺える。背も雪男より、頭一つ高かった。そのくせ、迫りくるような威圧感がない。
 静かな感じってこういうことか。燐は感心したような感想を抱いた。
 静かと言っても、台湾支部の劉のような、何を考えているのか判らない雰囲気ではない。
 一本だけ立っている背の高い樹のようだった。
 今は祓魔塾の休憩時間で、頭が煮えそうになった燐は気分転換に中庭に出た。たまたま雪男もそこにいて、二人で夕飯の買い出しをどうするかを話していたのだ。そこへ塾長でもあるメフィストが見知らぬ男を連れて中庭に入ってきた。
 奥村兄弟はただ、あんぐりと口を開けて見上げていた。
「彼はライアン・ベイカー。北アメリカ支部の祓魔師です」
 双子の反応が面白かったのか、明らかに笑いをこらえながらメフィストが紹介する。
「ども…」
 普段は冷静な雪男はどこへやら。二人して間抜けな受け答えをする。
「初めまして。正十字騎士團の祓魔師であり、祈祷師でもあります」
「メディスンマン……」
 雪男が言葉として知っている、と言うニュアンスを含ませて呟いた。めで……なんだって?
「エート」
 アメリカから来た男はきょとんとした顔の燐に気付いて、どう説明したものか困った顔をして笑った。それが身体が大きいのに妙に人懐こい犬を思わせた。
「私はネイティブ、所謂インディアンです。祈祷師は自分の人々のために祈りの儀式をします」
 燐は流暢な日本語で双子よりも丁寧な挨拶をする大男を見上げながら、インディアンて意外と普通の人だと言う感想を抱いた。頭に羽根飾りもしていなければ、顔に模様もない。服装も完全に祓魔師の格好だし。
「おや、それを話してしまうのですか」
 メフィストがベイカーの言葉になにやら意味ありげに問う。尋ねられた方ははい、と迷いなくきっぱりと答えた。普通は話さないことなのか?
「重要な出会いがあると。また私の知識が役に立つともお告げがありましたから」
 おつげ? 燐はますます判らなくて首を傾げた。このままだと首がポロって落ちると思うぞ。
「今回の任務にはどうやら彼の『祈祷師』の力が必要かも知れないと言われましてね」
 俺たちの頭の周りに、ハテナが浮かんでいたかもしれない。燐たちに肩を竦めてみせたメフィストの言葉はどう言うことだろう。それを問いただす前に、脇の茂みががさがさと揺れて、不機嫌な顔の霧隠シュラが気だるそうに中庭に入ってくる。
「んだよ、折角の休日に呼び出してんじゃねーよ」
 女だろ、と言いたくなるような無遠慮なあくびを洩らした。見慣れた光景に少し頭が冷静になる。
 シュラのビキニとホットパンツと言う大胆な格好に、ベイカーが一瞬頬を染めてうろたえたが、すぐに冷静な顔に戻した。そして、何かに気付いたらしくメフィストに伺うような視線を向けた。
「ええ、いかにも」
 白い服にシルクハットの日本支部長が、大げさなくらい真面目な顔で頷いた。
「やはり、ニンジャは本当に居たんですね!」
 海外支部から来た祓魔師は、顔を輝かせてシュラの手を取って、ぶんぶんと振り回す。大好きなおもちゃか食べ物を前にした子供のような笑みを浮かべていて、さっきとの印象とは全く違う。そして何事かべらべらと喋りながら、無遠慮に頭からつま先までじろじろと見回した。
「な…っ、なんだテメェは!」
 シュラの動揺する姿など、滅多に見られるものではない。申し合わせた訳ではないし、正確には動けなかったと言った方が正しいのだが、双子は敢えて状況を静観した。
 その間にも男は大興奮の体で、早口にうにゃうにゃと謎の言葉を唱える。呪文か? 燐が首を傾げる。
「はぁ?」
 シュラが握られた手をもぎはなそうと手を振り回す。彼女が言葉遣いも乱暴に「どういう意味か?」と尋ねたのからして、きっと復活の呪文とかではないだろう。
「なに喋ってんだ?」
「英語。ニンジャ、カッコイイ。会えてとても嬉しい、光栄だ。手裏剣を投げてくれ。水の上を歩けるというのは本当か? などなど」
 雪男は、皆ニンジャ好きだなぁ、と呟いて呆れたような溜め息を吐いた。クールジャパン、などと言われているせいか、