すね毛隠して尻隠さず
※いずれの場合も、ヒゲとわき毛とchin毛は同量にある程度生えているものとする。
私は毛深い。
とりわけ、スネが毛深い。
爽やかで、端正で、気品に満ちた顔立ちからは想像できない程毛深い。
悲しいかな、クマのように毛深く、いやクマ以上に毛深く、クマよりもクマっぽい父の血を局所的に色濃く引いてしまったのであろう。
スネに関して言えば、クマよりもクマっぽい父よりもクマっぽいかもしれない。
全く持って忌々しい、端麗な顔とのGAPである。
よく、「わたしGAPに弱いのよね。」という女がいるが、そのようなGAPはおそらく
・馬鹿のようで賢い
・不良だけど優しい
・貧乏くさい金持ち
といったものであろう。
例え天地が転覆しようとも、きめ細やかで美しい顔の青年が実はスネが毛深いなどというGAPに、女は惹かれない。
このようなGAPはもはやGAPと呼ぶにも値せず、しまむらと呼んだ方が良いであろう。
私はこのしまむらのせいで、夏になっても半ズボンを履けない。
しまむらの半ズボンでなくとも履けない。
近年、男の半ズボンが流行っているのもあり、どうして履かないのかとよく聞かれる。
その度に私は、
「男の半ズボンなんて生理的に無理だぜ!」
と答えるのだ。
だぜ!などと言うのはこの時とポケモンをゲットする時くらいだぜ。
無論そのような答えは単なる強がりであり、本当は半ズボンを履いて洗う前の牛蒡のごとき脚を露出することで「生理的に無理」と女に言われたくないからなどとは口が裂けても言えないし、股が裂けても言えない。
スネを出すくらいなら尻を出した方がマシである。
しかし、かと言ってメンズTBCなどという病院に行って脱毛する気にはならない。
私はあくまで、この美しく清らかな顔と相反するスネ毛を露出したくないだけなのであって、スネ毛自体を憎んでいるわけではない。
私の顔が牛のようであれば牛蒡の脚とも相性抜群であったろうに。
そうであれば、顔とスネ毛のつじつまが会い、あらゆる女性が私の虜になったに違いない。
このイケメンが憎い。
メンズTBCにはいかなくとも、高須クリニックには行くべきだろうか。
イエス!!
とは股が裂けても言えない。
作品名:すね毛隠して尻隠さず 作家名:龍ちゃん