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日曜日の午後

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日曜日の午後は阿佐ヶ谷の喫茶店で過ごすのがいつものことになっている。私はドーナツを食べながら、今日の午前中の出来事についてかんがえていた。
私の家は高円寺の駅からバスで20分の場所にある。すぐ近くには公園がある。今の季節は木の枝に新芽が出ている。午前中のゆっくりとした時間を公園ですごすのはまだ季節的には肌寒いが健康的な気分にさせてくれる。
一通り公園を散歩して家に帰ろうとした時にふと一匹の猫と目があった。私は動物があまり得意ではないが、その猫は私に懐こうとしているように見えた。猫はそのまま私の方に近づいてくるとのんびりとした声で私についてくるよう促した。今まで猫から誘いを受けたことのない私だったので、いぶかしんだがついて行くことにした。猫はついてきたわたしを一度振り返ると「トットット」と歩き出した。
家と反対方向にしばらくついて行くとそこは公園の中では一番枯れ草が積もった場所に出た。そこには子猫が待っていた。私は猫にまた会いに来ると言ってその場を後にした。
私は猫のことを思い出しながらドーナツを食べていた。ドーナツは揚げるものだがここの店のドーナツは油っぽくなく食べやすい。ふと私はいい考えを思いつき喫茶店を後にした。

再び猫の居場所に戻ってみるとそこには子猫と昼寝をしている猫の姿があった。私は猫を起こさないようにドーナツとミルクを置いてしばらく猫を眺めていた。猫の表情からは何も読み取れなかったが、午前中のあののんびりとした声を思い出してきっといま幸せな夢でも見ているのだろうと思った。すると猫が大きなあくびをして目を覚ますと私に視線を合わせた。私はまずミルクをすすめてねこのご機嫌をうかがった。 ミルクを美味しそうに舐めるのを確認して次にドーナツをちぎって与えてみた。猫はドーナツを見ていたがそれがなんなのかはわからないといったようで再びミルクを舐め始めた。
私は猫が飽きるまでその姿を眺めていた。

作品名:日曜日の午後 作家名:加藤悠太