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もう一度、君に触れたくて

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君はあの日から、毎年のようにこの場所に訪れていた。
ふたりのあの時間の思い出を辿り歩いて、あのレストランに行き、
ふたり分の食事を頼む。

海の見えるカラフルなコテージに泊まりひとり夜を明かしていた。




だけど、
俺は、
いつも、
君の隣にちゃんといたんだ。




海沿いの道を歩いている時も、君の隣により添い歩いていた。

レストランで君が泣きそうな顔でオムライスを差し出した時も、
俺は君の前で君と向き合っていた。

夜空を見上げている時も、ベッドで泣いたまま眠ってしまった時も
ずっと君の隣にいたんだ。




隣でいつも君を想っていた。




君に寄り添い手を繋ぎ歩きたかった。

君が差し出すオムライスを食べてあげたかった。
泣いている君の涙を止めたかった。

冷えた肩を抱きしめたかった。
ベッドで眠る君に腕枕をして眠りたかった。

Kissをして君を…いつまでも抱きしめて…。




もう、この手は君に触れる事も出来ない。
もう、君を守ってやることも出来ない。
もう、君に俺は何もしてあげられない。




だから―。




scene7

君は、泣き疲れて寝てしまっていた。
俺は、その隣に横になって君を見ている。

カーテンから覗く月明りが、蒼白く尾を引いて君を照らしていた。

俺は、君の髪を撫でて、涙に濡れた頬にKissをした。

君が、うっすらと瞳を開いた。
そして俺を見た。

「…夢……これは夢なの…」
「そうかもしれない」
「…あいたかった……」

泣きながら、君が俺に抱きついた。

「ごめんな」
「もうどこにも行かないで」
「……」
「君は、わかっているだろう」
「じゃぁどうしてここにいるの?私が呼んだの?」
「本当の別れを言いにきたんだ」
「本当の別れ?」
「俺はもう俺じゃなくなる」
「どういう事よ」
「次の世界にいくんだ」
「それは、生まれ変わるって言う事?」
「俺たちは、きっとまたいつか会える」
「………」
「信じるんだ」
「………」
「だから、君も幸せになるために前へ進むんだ」
「そんなこと……言わないで」


俺を抱きしめる君の手がいっそう強く俺を抱きしめた。


「君も幸せにならなきゃダメなんだ」
「…本当に…また会えるの?」
「あ....あ....きっと会えるよ」






俺の腕の中で君が眠っている。

部屋の中が白々と明るくなってきた。
朝が来れば、もう…。




ずっと、君に触れたかった。




抱きしめてKissを交わし、また抱きしめて。
君がいやという程にね。

今が無理でも、きっといつか。

そう、いつの日か。

きっと、巡り合える。