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アナザーワールドへようこそっ!  第二章  【028】

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  【028】



「さて……と、じゃあ早速、寮に向かうか。おい、シーナ……」


 と、横にいるシーナを呼びかけると…………そこにはいなかった。

 見ると、さきほど結成された『シーナ様@ファンクラブ』の代表? と思われる男と教室の入口のほうで話をしているようだった。

 俺はシーナに声をかけないでそのまま行こうかと迷った……が、やはり、一応、声をかけないと、後でいろいろと言われそうな気がしたので、とりあえず声をかけた。

「おい、シーナー。先、行ってるぞっ!」
「あっ! 待って、わたしも一緒に行くっ!」

 すると、その『ファンクラブの代表?』らしき人物が俺に近づいてきた。

「お兄様のハヤト様ですね? どうも、はじめまして。わたくし、本日結成された『シーナ様@ファンクラブ』代表の『マルコ・デルフォード』といいます、わたくしのことはマルコとお呼びください。これから、どうぞ、よろしくお願いいたします」

 と、ていねいな挨拶を頂いた。

「あ、ど、どうも……」

 以外と、しっかりとした挨拶に俺は少し、驚きつつ、そのマルコ・デルフォードという『いかにもガリ勉風の男』に返答する。

 というのも、このマルコ・デルフォード……メガネをかけているのだが、そのメガネがよく漫画とかに出てくる『グルグルメガネ(おそらく『度のきついメガネ』なのだろう)』をかけているので、誰でも『ガリ勉』を連想してしまうような風貌であった。

 ただ、その顔から下は『対照的』で、おそらく身長は180センチくらいだと思われるのだが、そのくらい長身で、足もスラッと長い。なので、少し、顔と身体がアンバランスに感じた…………気のせいかな。
 
「お兄様、これから寮へと向かわれるんですよね?」

 マルコが隼人に尋ねる。

「あ、ああ……そうだけど」

 すると、マルコはニコッと笑い、

「わたくし、お兄様のルームメートなのですが、入寮の手続きや学校(アカデミー)の案内など、ぜひ、させていただけないでしょうか?」
「えっ? ル、ルームメート?」
「はい。男子寮も女子寮も生徒が二人一組で部屋を使うんですよ」
「へー、そうなんだ……ど、どうしようかな~」

 と、俺はシーナにアイコンタクトで確認を取る。

 シーナ、『どうぞ、どうぞ』という仕草。

 すると、横にいたアイリに、

「じゃあ、アイリ……入寮手続き行こっ?! お兄ちゃんはルームメートさんが案内してくれるそうだから。じゃあ、マルコさん、よろしくお願いしますっ!」
「は、はいっ! お任せくださいませっ!」

 そう言うとシーナは、アイリと一緒にそそくさと教室から出て行ってしまった。

 シーナのやろう…………俺にマルコを押し付けやがったな。

 まあ……でも、別に悪い奴じゃなさそうだし、これからのことを考えればルームメートとのコミュニケーションは大切だからな。

「わかった。じゃあ、頼むよ、マルコ」
「はい。では、参りましょう」

 と、俺とマルコが教室を出ようとしたとき、


「ハヤトッ!」


 声のほうを振り向くと、そこにはフレンダがベルと一緒にいた。

「フレンダ? どうしたの?」
「わたくし……」

 と、フレンダがしゃべろうとすると、

「おい、ハヤトッ! お前、気安く『フレンダ』なんて呼ぶんじゃないっ! だいたいお前らは……」

 ベルが横から入り、フレンダを遮って俺にナマイキな口を利く。

「ベルッ! いい加減にしてっ! 今はわたくしがハヤトとしゃべっているのです。少し黙っていてくださいっ!」
「お……お姉さま、すみま……せん」

 と、フレンダに一喝されたベルはスゴスゴと後ろへ下がった。

 フレンダは、一度、咳払いをして、改めてハヤトに声をかける。


「ハヤト、あなたにはいろいろとお話をしたいことがあるのだけれど……今度、時間作ってもらえないかしら?」
「……えっ?!」

 俺はフレンダの突然のお誘いに、ひどく狼狽してしまった。

 フ、フレンダさん、それって……、

「も、もしかして…………デ、デート?」
「なっ!?…………ち、違うわよ! な、何を勘違いしてるのっ! そうじゃなくて、あなたにはいろいろと聞きたいことがあるんです。できれば、シーナとあの子……アイリは、抜きで」
「シーナとアイリ抜きで……?」

 一体、どういうことだろう?

 二人がいると、困るような話なのか?

 うーん、どうしよう……。

 まあ、でも、別に取って喰われるわけじゃないだろう。

「わ、わかった……じゃあ、いつがいいんだ?」

 俺は情報収集も兼ねて、フレンダのお誘いを受ける事にした。

「そう……ね、じゃあ、明日授業終了後でどうかしら?」
「ああ、わかった。じゃあ、明日な?」
「ええ、よろしくお願いしますわ、話はそれだけです……それでは。ほら、行くわよ、ベル」
「お、お姉さま、どうしてこんな顔も別にたいしたことなさそうな男と……っ?!」

 聞こえてますよ、ベルちゃん。

 そういうのは、本人がいないところで言おうね。

 けっこう……傷つくから……………………グスン。

 そう言うと、フレンダはベルを連れてさっさと教室から出て行った。

「ふーん……さすがハヤトお兄様、あの『凍結天女(フリーズ・エンジェル)』のフレンダからお誘いがかかるなんて凄いですね」
「い、いや、そんな……て言うか、フレンダのこと知ってるの?」
「知ってるも何も、超有名人じゃないですか?!」
「えっ? そうなの?」
「えっ? 知らないんですか?」
「えっ? あ、うん……ごめん」
「……なるほど。それでしたら、寮に向かう間、いろいろとフレンダさんについて教えてあげますよ。あと、それ以外にも、わたくしはこの学校(アカデミー)のことなら何でも知っていますので、何か学校(アカデミー)について知らないことがあったら聞いてくださいっ!」

 おお、頼もしい。

『ガリ勉風』なくせに、何だか頼もしい奴だな。

 しかも、話すと、ノリも良さそうだし、意外と話が合うかも。

 俺は、マルコのことを少し気に入った。

「そう? じゃあ、いろいろと教えてくれよ。あっ、あと、俺のことは『お兄様』とか『ハヤト様』じゃなく、『ハヤト』でいいから」
「えっ? で、でも、シーナ様のお兄様ですし……そんな呼び捨てなんてちょっと言い慣れる自信がありません。なので、このまま『お兄様』か『ハヤト様』がいいのですが……」
「い、いや、『お兄様』はちょっと…………だったら、 まだ『ハヤト様』のほうがいいかな」
「わかりました、では、ハヤト様、寮へ参りましょうっ!」


 そう言うと、マルコはうれしそうに俺の前を歩き、寮まで案内してくれた。