ひとりじめ
さあ言葉にしようとして、出て来る筈もない。
言い様のない体内の、内臓の呻きを一応伝える為だけにそれは作られたのだ。けれど実質、それだけですむのなら説明仕切れたと思うのなら全くお手軽だ。その程度で苦しいだのと言うのなら、たかが知れている。
でも、私は他人事の様な軽口で苦しいとしか言わない。
伝わらないだろう。誰にも、お前にも。それでいい。
言い募ってもどうせ全ては伝わらないのだ。ならばこの、凶器は、抱いて眠ろう。抱き締めていよう。何処にも逃げずに私と在る様に。これは今の私を形造る一部なのだから。
愛しいなどとは決してない。だけれど、捨ててしまえば片足が無くなる、なくなればもう歩けない。それでは困る。私にはお前を護る盾になる喜びがあるのだ。
ふと、お前が触れてきた指
まるで私の内臓の霧を吸い取る様に、鏡移しの表情になる
ほら
結局本当の想いなど、言葉では伝わらないのだ。
(だからお前はそのままでいい なんの言葉も持たなくなったお前のままでそれでいい。)
今日も野晒しのギターのメロディに、乗せられる言葉は無い。
【ひとりじめ】