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あったかかくれんぼ

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いつも がらんとした たたみのおへやに きれいなものが おいてある

あかいじゅうたんの うえに ちいさな にんぎょうが ならんでいる


ぼくのいもうとが うまれたときに おかあさんのおとうさんが かってくれたの

ぼくが みるのは さんかいめだ


いつも あそんでいる おへやなのに ぼくは そぉーっとのぞきこむ

おかあさんは はしっちゃいけないとか さわっちゃだめとかいうけど 

ぼくは みたいだけなんだ


まっしろなかおした にんぎょうは ぼくのかおのいろと ちがうし 

きているふくも あそぶのに じゃまそうだけど とっても かっこいい

へんなぼうしも てにもっているぼうも こしにさしたかたなも にあってる


となりのおんなのこは かみのけがながくって おおきなせんすをもって すましてる

たくさんふくを きてるけど さむいのかなぁ



ぼくも まねしてみよう



おとうさんの おおきなセーターを きてみた

ても からだも ぶかぶかで かおを やっとだしたときは たんけんしていたきぶんだ



「わ、あったかそう」



となりにひっこしてきた おんなのこが セーターのなかに もぐりこんできた

おおきな ぶかぶかのセーターが せまくなった

でも かおをだすところは いっぱいで ぼくだけしか いられない


おんなのこの おかあさんが よんでいる



「しぃー ないしょね」



ふくの なかから きこえてきた



うん ぼくが まもるよ



ぼくは じっとしたまま しらないふりをして おにんぎょうを みていた

とっても あたたかい やわらかい おかあさんに だきついたときみたいだ



「もう いいかな」



おんなのこが ぼくのよこに かおをだした

ぼくのくびは すこし くるしくなった


わらった おんなのこのかおが ぼくのほっぺに くっついた

ぼくも わらった



「あったかいね」



そういって ふたりで わらった


たくさんの ふくをきた にんぎょうよりも ふたりのほうが あったかいね




     ― おひなさま ―
作品名:あったかかくれんぼ 作家名:甜茶