怪物狩り 第2章(2)
午後8時。
4人が居酒屋に集まった。
正直言って、直接会って作戦会議をする必要はない。ほとんどの連絡は、チャットでしている。
そもそも、人目のある場所で「狩り」の会話をするのは危険だ。
最近は、新聞やテレビでも「狩り」の存在を報道するようになっており、警察も警戒している。
実際、すでに数名の逮捕者も出ている。
ホームページは何度も閉鎖されているが、その度に新しいサイトが立ち上がる。いたちごっこが続いている。
そのような逮捕のリスクを考えたとしても直接会わなければならない理由、それは裏切りを防止するためである。
他のメンバーの情報を握ることと、他のメンバーに自分の情報を知られないことが、チーム内での自己の優越的地位を築くことになる。
作戦会議と言う名の腹の探り合いは、1時間程度で終わった。
その間、「狩り」に関して話したのは、チャットで話し合った通りの進行でいいのかという確認だけ。30秒もかからず終了。
その後は、表面上、会社の同僚同士のような会話が行われる。
全員、居酒屋にいるのに酒は飲まない。酒に酔って、口を滑らさないためである。
これによって、今回の「狩り」の作戦、決行日時が確定した。
「狩り」の決行日は、1週間後。
作品名:怪物狩り 第2章(2) 作家名:宇都 治