ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく )
パチパチパチ……。
「芹凛、よく解いた。ところで、この密室殺人事件の動機は、何だ?」
こう問う百目鬼に、芹凛は「桜子は愛人の奥川に、主演になって欲しかった。そこで夫の神馬が邪魔になり、殺人を奥川に持ち掛けて……」と口籠もった。
「バカモン! お前はまだ甘ちゃんじゃ! 男は主演の座をものにしたくとも、この女は夫の青薔薇の花言葉、夢叶うより、自分の手を汚さずしての……、保険金だよ」
こう言い切った百目鬼、あとはニッと笑い、「あの青薔薇は神馬からの叫びなんだろう。芹凛、偽装プロセスの仮説は的中してると思うが、今のところ事実ではない。だから桜子と奥川にすべてをしっかり吐いてもらおう。さっ、行くぞ」とギラリと鬼の目を光らせたのだった。
作品名:ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく ) 作家名:鮎風 遊