ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく )
♪ 今が とてつもなく 悲しくっても
勇気を出して 一歩を踏み出そう
オン・ザ・ロード(ON THE ROAD)
未来への 旅の途中だから …… ♪
「これって、私たちのデビュー曲だったでしょ。だけど、あなたの未来への旅はここで終わるのよ」
美容に良いわよ、と騙されて、青酸カリ入りのカプセルを飲み、いまわの際にあるミライに、古都が耳元で冷たく囁いた。
「仲直りしようと、古都を誘ったのに、なぜ?」
ミライは疑問が解けず、目に涙が溢れる。
七年前の大文字の夜に、ずっと一緒に唄って行こうと誓い合った二人。しかし古都はミライの断末魔の叫びを聞き流し、憎悪の言葉をさらに浴びせる。
「往生際の悪い女ね。三年前にコンビを解消してから、ミライは私が書いた歌を盗んで、まるで才能があるかのように振る舞って、人気を独り占めしてきたわ。そのお陰で、私は仕事を失い、極貧生活よ。その上、私の妹の彼氏まで強奪したわよね。もう許せないから、ミライにはあの世へ行ってもらいます」
作品名:ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく ) 作家名:鮎風 遊