ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく )
「甘い!」
百目鬼から厳酷苛烈な一喝が。そして「蘭子に死の天使が舞い降りたんだろ」と鬼の目をギョロッと剥いた。これに芹凛はブルッと身を震わせる。その瞬間だった。ハタと気付く。
「蘭子が一番憎んでるのは大輝。だから最後に、大輝をなぶり殺しにする。こんな予感がします」
この芹凛の推理に、百目鬼はニッニッと笑みを零し、上司としての思いを告げるのだった。
「仮説は今のところ事実ではない。さっ芹凛、我々の予感、それは最後に、大輝が――蘭子に処刑される。そうならない内に、早くこの事件を解決してしまおう」
作品名:ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく ) 作家名:鮎風 遊