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コンビニ店員の俺と本田さんと各国の人々。1~21まとめ

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本日、お花見日和。






 持参品の準備はおk!…バイト後、寝る時間を削って準備して、眠くて仕方がないがまあいい。それでは、出かけますか。



 指定された場所へと風呂敷の結び目を握り締め、ひいひいはあは言いながら歩くこと二十分。わいわいがやがやと既に花見客で騒がしい、その中でも一等地に陣取ったブルーシートの上、見慣れた顔が見えた。…ってか、滅茶苦茶目立ってるよ!通り行く通行人が物珍しそうな顔をしてわざわざ振り返って通り過ぎていく。それもそうだ。黒髪目立つ中、銀髪だの金髪だの、ちょっと明るいオレンジ色の髪など、目の色も違えば顔立ちも違う、背も高く、海外のモデル雑誌の中にいるような一団が既に盛り上がっている訳で。でも野郎ばっかって、実に色気もクソもないな。…まあ、俺もその一団に混じることになるわけど。…しかし、あの中に入って行くのは何か気が引けるな。…でも、腕が限界だぜ。風呂敷包みの重箱五段にみっしりとばあちゃんに付き合ってもらって三時間、台所を占拠した成果。腕が千切れる前に、覚悟を決めるか。よしっと決意を固めると、背後から肩を叩かれた。振り返れば、ハンバーガー君とムキムキさんな珍しい組み合わせ。
「こんにちわ。お久しぶりです」
「ハロー!久しぶりなんだぞ!元気にしてたかい?」
「はい。お陰様で。ところでお二人はどうしてこんなところに?」
「ああ、俺たちは買出しだ」
ハンバーガー君の手には飲み物の入ったペットボトルの袋と缶チューハイの入った袋がそれぞれ四つづつ。ムキムキさんは肩にビールの大瓶のケースを軽々と担いでいて…、空いた方の手にはワインらしい瓶が見える。どんだけ、ムキムキなんだ。俺なんか、ビールケースは持ち上げるのがきっとやっとだ。
「じゃんけんに負けたんだぞ!ヒーローの俺が負けるなんてありえないんだぞ!」
「じゃんけんは兄さんが負けたんだが、兄さんとアルフレッドを酒屋に行かせたのでは無駄なものばかり買って来そうで、俺が兄さんの代わりに」
重くないのかと思いつつ、見上げる。二人はけろりとした顔をしている。
「…あー、そんな気がしますね」
ムキムキさんの言葉に同意する。バイト先でのふたりの買い物の仕方を見てると容易に想像がついた。うさぎさんもハンバーガー君も目に付いたものはカゴに入れてしまうというお子様なお買い物をする。とても任せておけないだろう。ムキムキさんの溜息にそう答えて、俺と二人は本田さんと各国の人々がどんちゃん騒ぎを繰り広げている場所へと向かう。
「ところで、君は何を持って来たんだい?俺はフライドチキンとサブマリンサンドイッチなんだぞ。あと、ケーキもあるぞ!!」
「俺は兄さんとカリーヴルストとシュニッツェル、フランクフルタークランツを持ってきた」
「俺はみたらし団子とおはぎです」
「俺の好物じゃないか!!」
ワオ!とハンバーガー君が大袈裟な身振りで喜ぶのにちょっと和む。しかし、心行くまでアメリカンだなハンバーガー君は。ムキムキさんのフランクフルなんたらってどんな料理だ?
「フランクフル…って、どんな料理なんですか?」
「フランクフルタークランツはリング形の王冠のような形をしたケーキだ。全体をバタークリーム塗ってある。上部はクロカン(krokant)と呼ばれるクルミ入りのカラメルで覆われている。フランクフルトと花輪を意味する名前で、フランクフルトの銘菓だ」
「美味しそうですね。楽しみだな。しゅにっつえるって何ですか?」
「シュニッツェルはこっちで言う子牛のカツレツだな」
「…とんかつみたいなものですか?」
「まあ、そんな感じだな。…ああ、そうだ。クーヘンはキュウゾーとお前の家族の分に一個余分に作って来たから、後で持って帰ってくれ」
「ありがとうございます!じいちゃん、喜ぶと思います」
ムキムキさん、めっちゃいいひとだ。じいちゃんは甘いものにはそれは目がないのだ。すごく喜ぶだろう。

 人並みを掻き分け、皆が待つ場所に漸く辿り着けば、ビール瓶を握り締め、上機嫌なうさぎさんが俺を見つけて、腕を広げた。

「おう!お前らお帰り!お前もよく来たな!!」

むぎゅり逃げる間もなくとハグをやられる。苦しい。
「お招き、ありがとうございます。…後、凄く酒臭いです」
「結構、飲んでるからな。…で、お前、何、持って来たんだ?」
むはあと漂う呼気が酒臭い。いつもは白い頬がほんのりと赤くなり、いつも高いテンションが更に高くなっってるみたいだ。うさぎさんは俺が手にした風呂敷に気付き、何を期待しているのか、wktk顔で俺に訊いてきた。
「みたらし団子とおはぎです」
「お前、俺様の好物解ってんじゃんねぇか!よし、座れ!」
またむぎゅりとやられる。そんなに嬉しいか、おはぎとみたらし団子が。某スレで欧米人にバカウケしていたものをチョイスしてきた甲斐があったぜ。ブルーシートの上には多国籍な料理がすでにずらりと食いきれない程に並んでいた。
「おお、凄い!」
まだ湯気を立ててるラザニアにボロネーゼ、ピザ、チキンとハムのテリーヌに白身魚のマリネ、玉ねぎとベーコンのキッシュ、パエリア、トルティージャ、ローストビーフ、フライドチキンにサブマリンサンドイッチ、カリーヴルスト、シュニッツェル、筍の炊き込みご飯のお握りに稲荷ずし、鶏肉と筍、根菜の煮物やら出し巻き卵、唐揚げと言った和食のお弁当メニューにデザートにはイチゴのムース、チュロスにムキムキさんが言ってたケーキとシフォンケーキ、何やら凄い怪しげな青い色をしたケーキとどっかで見たような真っ黒な一品が見えたが、見なかったことに俺はした。そして、その中に俺のみたらし団子とおはぎも仲間入りした。
「ですよね。私もこの日が一番、楽しみで」
煮物を盛った大きな深皿を手に、本田さんが俺の隣に座った。
「お招き頂き、ありがとうございます」
「いいえ。楽しんでいってくださいね。…もう、半分くらい出来上がってる人たちがいますが」
苦笑交じりに投げられた視線の先には顔を真っ赤にした眉毛さんと、髭さんと親分さんが何やら言い合いになっているらしい。眉毛さんが涙目になっていた。
「アントーニョさんが持ってきてくれた本場のバレンシアオレンジ100%のジュースがありますよ。ウーロン茶もありますが」
「オレンジジュースをください」
本場だと言うからには飲まねばなるまい。紙コップに注いでもらう。ふわりとオレンジの香りが漂う。

「おい、お前ら、皆揃ったし、もう一回乾杯しよーぜ!」

料理を囲んで、紙コップとビール瓶を手にした面々が一斉に唱和する。

「「乾杯!!」」
「Cheerio!!」
「Cheers!!」
「A votre sante !!!」
「Salud!!」
「Cincin!!」
「「Prost!!」」

中身が零れないようにかつ、豪快に紙コップの縁をぶつけ合って煽る。…ってか、何事だって感じで周りの人たちが俺たちを見ていたがそんな視線を気にする人たちではない。紙皿を手に取り、あれやこれやと皿に盛り、花より料理な宴会が始まった。
「カリーヴルスト食え!美味いぞ!!」
皿にじゃがいもとヴルストをうさぎさんに突き出される。それを受け取り、口に運ぶ。
「皮がぱりっとしてて、中がジューシーですごく美味しいです」