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寂しがり屋

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昔はSNS交流サイトでコメントを何かつぶやくと友だちがそれに対してコメントをしてくれるなんて事があった。

私はあれが嫌いだった。いや、嫌いになってしまった。
昔から私は性格が取り分け良いという訳ではない。
コメントをしてもコメントが返って来ることはほとんどなかった。
まぁ、内容がくだらないというのもあったが返って来なくても
「まぁ、みんな忙しいし、私のコメントををたまたま読んでなかったのかな…ハハ…。」
っと済ますようにしていた。

しかし、本当に助けて欲しい、慰めて欲しいコメントをした時に誰からも返事がないのは少々、いや、結構に心に傷が付くものである。

私はその時すぐにIDを消してしまった。
この小さいスマホの大きなインターネットの世界の中で誰からも相手にされないなんて死んでいるようなものではないか。
ある意味SNS交流サイトというのは本当の友だち発見器でもあるのだとその時、痛いほど心で感じとったのは懐かしい思い出。
インターネットの世界で私に友だちはいなかった。

そう、いなかった。
が、あれから何十年か経ち私はロボット事業を起こした。
人間そっくりの友だちロボットを作ってくれる機械を作った。

ロボットの大きさはコストやスペースを考えて身長10cm〜20cm。
顔や心、体型、身長、服装はプログラムが調整してランダムに作られる。
顔が不細工や嫌な性格にはならないようにちゃんと設定してある。
性別は今の所は全員、女の子だ。

完璧だ。自分と仲良くしてくれる。差別しない。愛してくれる。
理想の友だちロボット製造機を私は完成させた。

さっそく機械に5人と入力してスイッチを押す。
すると機会の中からロボットが5人出てきた。

みんな可愛らしい子で目を凛とさせてこっちを見ている。
「よろしくね。」「握手〜!」「大好き!」「遊ぼうよ!」「ずっと一緒だよ。」

嬉しかった。人間なんかよりも愛らしくキレイな存在に。
私は彼女たちと暮らし退屈しない生活を送った。

が、ある事に気付いた。私が事業に悩んでいた事があった。
「ここから、どうしたらいいと思う?もう分からないよ…。」
彼女たちに聞いた。
「大丈夫だよ。」「あなたなら出来る!」「信じているよ。」「何とかなるよ。」「元気だしてよ!」
「…具体的にどうしたらいいかな?」
彼女たちは目線を逸らして黙った。

あぁ…。結局は言葉だけで行動は起こさない。
これじゃあ、昔やっていたSNS交流サイトみたいなものだ。
私は同じ悲劇をまたしてしまった。
空っぽの言葉が飛び交っていた部屋の中でそう思った。

END
作品名:寂しがり屋 作家名:ルーツ