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アナザーワールドへようこそっ!  第二章  【022】

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  第二章  「王立中央魔法アカデミー(セントラル)へようこそっ!」



  【022】



 リサたち王室の人たちが帰った後、アカデミー長であるカルロス・ワイバーン…………カルロスさんに自分たちのクラスがどこなのか調べてもううようお願いしした……が、カルロスさんは即答で答える。

「ハヤトさんとシーナさんは、二人とも同じAクラスです。というのも、『特別招待生』であるお二人には、次の『特別招待生』となる可能性のある者たちを集めた『Aクラス』に入ってもらい、そこでいろいろとご助力いただければと思っております。これは、以前から決まっているものであります。もちろんリサ様もご存知です。なので、ぜひ、お力をお貸しください」

 と、カルロスさんは頭を下げた。

「や、やめてくださいよ、カルロスさん…………いえ、アカデミー長。もちろん、僕たちのできる範囲のものであれば協力させてもらいますから」

 と、俺はアカデミー長に頭を戻すよう言う。

 ちなみに、カルロスさんが俺たちのことを『ハヤトさん』『シーナさん』という呼び方になっているのは、俺たちがカルロスさんにそう呼んでもらうようお願いしたからなのは……言うまでも無い。

 そして、俺とシーナは、ちょうどアカデミー長と話す機会ができたので、ずっと疑問に思っていたこの……『特別招待生』の選抜方法について聞いてみた。

「『特別招待生』とは、将来のリサ・クイーン・セントリア女王陛下の側近魔法士(ボディーガード)となるために用意された『特別枠』でありますが、この選抜方法は、リサ様ご自身が『青水晶』を使い、『天啓(メッセージ)』をもらうことにより、選抜されるものとなっていました………………これまでは」
「……これまでは?」
「……はい。リサ様が即位された三年前、リサ様に『天啓(メッセージ)』がありました。その内容が……『ご自身の側近魔法士(ボディーガード)を学校(アカデミー)で育成するように』という内容でございました」
「あ、あの……その『天啓(メッセージ)』って、誰からのメッセージ何ですか?」
「もちろん…………『神』です」

 俺は、アカデミー長の『神』という言葉に反応し、思わず、シーナのほうを振り向いた。しかし、シーナは特に表情が変わることもなく、平然と聞いている……ように見える。

「で、では、リサが……あ、いや、リサ様が……」

 俺は思わず、さっきのリサとの約束のまま、つい『リサ』と呼び捨てしまったことに気づき、すぐに言い直そうとした……が、

「……いいですよ、ハヤトさん。リサ・クイーン・セントリア女王陛下、直々の命令なのですから、そのまま呼び捨てで結構です」

 と、アカデミー長はニコッと微笑んで答えた。

「す、すみません…………あ、でも、本人の前とか、アカデミー長やロマネさんの前以外では、ちゃんと『リサ様』と呼びます……いえ、呼ばせてください。そうしないと、周りから変に目立ってしまいそうなので……よろしいですか?」

 俺は、アカデミー長にそう言って確認を取った。

「まあ、ハヤトさんがそのほうがいいのなら構いませんよ…………実際、わたくし個人といたしましても、そのハヤトさんの意見には賛成です。やはり、公の場では『リサ様』という呼び方のほうが、いろいろとこちらもありがたいですので」
「ありがとうございます。では、そのようにリサにお伝えください」
「わかりました…………では、さっきの話に戻させていただきます」

 と、アカデミー長はすぐに話を本筋に戻した。

「……つまり、この『特別招待生』というのはリサ様が青水晶で『神との交信(コンタクト)』でいただいた『天啓(メッセージ)』により作り出された『特別枠』でありました。しかし、それには『大きな問題』があったのです」
「……大きな問題?」
「はい。『大きな問題』それは…………三年前の創設より、誰一人として『特別招待生』が選出されることがなかったというものです!」

「ええっ……?!」

「『特別招待生』を選抜するとき、リサ様に、学校(アカデミー)で優秀な学生のリストを渡し、それを一人一人、リサ様が『神との交信(コンタクト)』により選抜をしていたのですが、これまで誰一人として天啓(メッセージ)を受けることはありませんでした。なので、わたくしと室長のロマネ様は考えました…………そして、この『特別招待生』の選抜方法を今までのやり方を継続しつつ、ただし、それとはまた別に学校(アカデミー)内に『1クラス』だけ『特別招待生候補生のクラス』を設けることにしました。その『候補生』を集めたクラスが、今日からハヤトさんとシーナさんが在籍する『Aクラス』というわけです」

「な、なるほど……つまり、リサの『天啓(メッセージ)』だけでは『側近魔法士(ボディーガード)の育成』が安定してできないため、もう一つ……『別ルート』で『側近魔法士(ボディーガード)の育成』のために『Aクラス』を設けた……そういうわけですね?」
「はい、そのとおりです…………ちなみにお二人に関しては、リサ様にも『天啓(メッセージ)』がありましたし、その前のリサ様の母親のイヴ王妃様が生前中に『予言(ビジョン)』としても記述されておりましたので、そういう意味でも、本当に唯一の『特別招待生』ということになるのです。いや、本当に信じられません…………まさに、奇跡ですっ!」

 アカデミー長は少し興奮気味に捲くし立てた……まあ、無理もない。

「でも、そんなアカデミー長は最初、僕とシーナのことを随分疑ってましたけどね?」

 と、俺はイジワルな言い方をした。

「いやー本当にすみませんでした。でも、仕方なかったんですよ? ああして、そう簡単に信じるにはあまりにも危険ですから……そこのところ、理解してくれると……助かります」
「も、もちろんです。今のは冗談ですから、真に受けないでくださいよ?」
「はは……わかりました。ありがとうございます。まあ、そういったわけで二年前からこの『特別招待生候補生』を集めた『Aクラス』が出来て、毎年、数名が『リサ様の側近魔法士(ボディーガード)』として卒業されています」
「なるほど……」

 ちなみに、このアカデミー長であるカルロス……カルロス・ワイバーンも元・側近魔法士(ボディーガード)である。

「ところで、この『特別招待生候補生』を集めた『Aクラス』って、ずっと六年間そのまま固定なのですか?」
「いいえ、違います。毎年、『クラス分け』を行っております…………試合形式で」
「!?…………試合形式?」
「はい。毎年、新年度を迎える春の前に『クラス分けトーナメント』を行っております。まあ、その話はまたその時期に担任からお話があると思いますので、詳細は飛ばします」


 カルロスさん、その話、ちょっと聞きたかったです。