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アナザーワールドへようこそっ!  第一章  【021】

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 俺たちは一気に急降下した建物にただ声を張り上げ、パニックになっていた………………一人を除いて。


「……神通具現化(ディバイン・フォース)!」


 シーナの掛け声が響いた。


 ガクンッ!


 すると、建物の落下が少しずつ減速していく。


「シ、シーナ……お前…………その力……」


 使えるのか?『神通具現化(ディバイン・フォース)』……を。

 でも、シーナはこの世界(アナザーワールド)では使えないと言っていた。

 あれはウソだった……のか?


 そして、建物はゆっくりと降下し、元あった位置に戻った。


「ふー……とりあえず、これで大丈夫でしょう」


「「「あ、ありがとう……ございます、シーナ様」」」


 気がつくと、俺たち三人はシーナに向かって祈るような姿で感謝の言葉を述べていた。


「そ、そんな頭をお上げください……………………それよりも、お兄ちゃんっ!」

「!?…………は、はいっ!」

「いくらリサ様がくっついてきたからって、それで動揺して集中力を欠くなんてダメでしょ?! まったく……やっぱりわたしがいないとダメだな、お兄ちゃんはっ!」


 と言って、先ほどから俺にぎゅっと抱きついていたリサを無理やり引き剥がし、自分のほうに引き寄せた。

「……むっ?!」

 リサは少し怪訝な顔をし、すぐにシーナから隼人を引き離そうとした…………が、命の恩人でもあるシーナに対し、また、隼人の妹ということもあって、そこは少し冷静になり、ぐっとガマンする。

「どうですか? リサ様、ロマネ様、カルロス様…………わたくしも兄と一緒に『特別招待生』のままで問題ないですよね?」

 シーナは小憎たらしく三人に尋ねた。

「お、恐れ入りました、シーナ様…………これまでのご無礼、大変申し訳ございません。もちろん、ハヤト様と同様、『特別招待生』として、このアカデミーにて歓迎いたします」

 と、カルロスがさっきの『ふてぶてしさ』から一転、俺とシーナに敬意を払い、深々と頭を下げた。

 同様に、ロマネも頭を下げていた。

 そして、

「シーナ様、わたくしも、先ほどまでのご無礼、大変申し訳ございませんでした。改めて、わたくしからハヤト様とシーナ様を正式に『異世界の人間である』と認ます。これでお二人への疑いは晴れました…………お二人とも、セントラルへようこそっ!」

 と言って、リサは、今度は俺とシーナに向かって飛びついた。


「「へ、陛下っ!」」


 俺とシーナは少し照れながら陛下の抱擁を受け止めた。

 すると、リサは隼人に聞かれぬよう顔をシーナの横に近づけ、耳元で囁く。

「シーナ様、お兄さんのこと、これからいっぱい教えてくださいね。わたくし、あなたのお兄さま……ハヤト様のこと、すっごく気にいっちゃった! いいですね? これは女王陛下の命令ですよっ!」
「へ、陛下!?…………いいんですか? あ、あんなお兄ちゃんなんてやめたほうがいいですよ」
「シーナ様!…………返事は『はい』でお願いしますっ!」

 と、リサは、『うふふ……』とイタズラな顔をして、シーナに迫った。

「は、はい……わかりました」
「ありがとう。それとシーナ様、これからわたくしのお友達になってくださいね、これも『はい』でお願いしますっ!」
「クスッ…………はいっ!」
「やったーーっ!」


 その後、リサは、一通り、シーナと隼人と歓談をしていたが、次の予定があるとのことでロマネがリサに移動する旨を伝える。


「そうか、わかった……では、参ろうか、ロマネ」
「はい」
「……それでは、シーナ様、ハヤト様、これから学校(アカデミー)を楽しんでくださいね。わたくしも時間があるときは立ち寄りますから、その時は一緒に遊びましょう」

 と、リサは名残惜しそうな声で二人に声を掛けた。

 すると、ここで、シーナが、
 
「リサ様、今日はいろいろとありがとうございました。あと、わたしたちのことは『シーナ様』『ハヤト様』ではなく、普通に『シーナ』『ハヤト』とお呼び下さい」
「そ、そんな…………い、いいのですか?」
「もちろんっ! だって、わたしもお兄ちゃんもリサ様の…………友達じゃないですかっ! ねっ? お兄ちゃん?」
「そうですよ、リサ様。僕たちは今日から友達なんですから」
「!?…………シ、シーナ様、ハヤト様」

 リサは、シーナと隼人の言葉に感動したのか少し瞳を濡らしていた。そして……、

「わ、わかりました。では…………シ、シーナッ! ハ、ハヤトッ! これでいいのですね?」

「「はいっ!」」

「そ、それでは、これから二人はわたくしとはお友達なのですから、わたくしのことは『リサ様』ではなく、『リサ』と呼ぶようにっ!」

 と、今度はリサが二人に要求した。

「「ええ……っ! そ、それは……さすがに…………まずいんじゃ」」

 俺とシーナはさすがにそこは遠慮したほうがいいと思った。だが……、

「何、言ってるんですか…………言い出しっぺはお二人でしょ? これは女王陛下命令です、いいですね?」

 と、リサは屈託の無い笑顔で二人にかわいく言い寄った。

「「わ、わかりました、じゃ、じゃあ…………リサッ! これからよろしくねっ!」」

「よろしいっ! うふ、これから楽しみねっ! よろしく、ハヤト、シーナッ!」


 そうして、いろいろあったが、俺とシーナは女王陛下や側近に『本物の異世界の人間』として、無事、認めてもらうこととなり、正式に『特別招待生』として、『王立中央魔法アカデミー(セントラル)』に招かれることとなった。