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練習用桃太郎

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昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでおりました。
ある日のこと、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは、川へ洗濯に行きました。
お婆さんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がゆらゆらと流れてきました。
お婆さんは、これは珍しいものだと思い、その桃を川から拾い上げ、それを持って帰る事にしました。
お婆さんが家に帰ってからしばらくすると、芝刈りに出かけていたお爺さんが帰ってきました。
帰ってきたお爺さんは、その大きな桃を見て大変驚きました。
しばらくは、一体これはどうしたことだろうと考えあぐねていたお爺さんとお婆さんですが、そのうち考えることも疲れてしまいました。
そこでお婆さんは、この桃を食べましょうとおじいさんに提案しました。お爺さんもこれに賛成し、台所にあった包丁でその大きな桃を真っ二つに切りました。
すると中から、元気のよい赤ん坊の声が響いてきました。突然の出来事に驚いたお爺さんとお婆さんでしたが、恐る恐る、その中身を覗いてみました。すると、桃の中には元気な男の子が入っておりました。
二人は、その子供に桃から生まれたということから桃太郎と名づけ、二人の子供として育てて行くことにしました。
桃太郎はすくすくと育ち、数年後には立派な青年に成長しました。
丁度その頃です。最近、このあたりで鬼が暴れているという話が囁かれておりました。それは、お爺さんとお婆さんが暮らす直ぐ近くの村でのことで、その話は、桃太郎の耳にも入っていました。
正義感の強かった桃太郎は、ある日お爺さんとお婆さんにこう告げました。
「お爺さん、お婆さん。今まで育てていただいて、本当にありがとうございました。そのお礼に最近暴れているという鬼を退治しに行きたいと思います。どうか許していただけないでしょうか。」
初めは、わが子と思って育てた桃太郎にそんな危険なことはさせられないと許さなかったお爺さん達でしたが、桃太郎の真摯な言葉に心を打たれ、ついに桃太郎に許しを出しました。
そして、お爺さんは蔵へ、お婆さんは台所へ行くと、お爺さんは古びながらも立派な鎧をお婆さんは、桃太郎の好物だったきび団子を持たせてくれました。
「それでは、行ってまいります。」
桃太郎は、そう元気に告げ長年過ごしてきた家を後にしました。
桃太郎がしばらく進んで行くと、彼の前に一匹の犬が現れました。その犬は、桃太郎に擦り寄るとこう言いました。
「お侍さん、お侍さん、そのお腰につけたきび団子、一つ私に下さいな。」
それを聞いた桃太郎は、少し考えるように頭を傾け、そして直ぐにお布法へと向き直り、
「いいでしょう、ただし、私はこれから鬼退治に行くのです。それを手伝って下さるなら差し上げましょう。」
と告げました。
それを聞いた犬は、嬉しそうに尻尾を振りました。
「実は、私も鬼達の横暴にはほとほと困っていたのです。ぜひともお供させてくださいませ。」
桃太郎は、犬のその決意に嬉しそうにうなづき、腰に下げた袋からきび団子を一つ取り出し、犬に与えてやりました。
「さあ、私達はこれで同志です。共に協力して鬼を退治てやりましょう。」
お供に犬を従えて、桃太郎は先へ先へと進んでいきました。
すると、突然頭上から騒がしい声が聞こえてきました。
「やあやあ、そこ行くお侍さん、そのおいしそうなきび団子、お一つあっしにくれやせんかい。」
見るとそこには一匹のサルが木の枝に?まっておりました。
「良いでしょう、ただし、私達はこれから鬼を退治に行くのです。その手伝いをしてくれるのなら、このきび団子を差し上げましょう。」
桃太郎は大きな声でそう返すと、サルも上機嫌に返してきました。
「それはこっちもありがたい、最近あいつらに山を追われたばかりでさあ。ぜひともお供に加えてくださいな。」
サルの決意を聞いた桃太郎は、これまた嬉しそうに頷くと、腰に下げた袋からきび団子を取り出しサルに渡してやりました。
「さあ、これから私達は同志です、一緒に鬼を退治手やりましょう。」
三人になった一行が目指すのは鬼の本拠地鬼が島。桃太郎たちは休む事無く進み続け、ようやく海が見えてきました。
すると今度は後ろから綺麗な声が響いてきました。
「あらあら、そこ行くお侍さん。そのおいしそうなお団子を一つ私に下さいませんか?」
見るとそこには雉が一匹優雅に宙を舞いながら飛んでいました。
「良いでしょう。ただし私達はこれから鬼を退治に行くのです。その手伝いをしてくれるのでしたら差し上げますよ。」
雉は桃太郎の肩にとまって歌うように言いました。
「私は先日鬼に襲われ酷い目にあいました、その鬼にやり返すことが出来るのでしたら喜んでお供いたしますわ。」
雉の心地のよい声を耳にしながら桃太郎は優しく頷き、腰の袋からきび団子を一つ取り出して雉に咥えさせてやりました。
「これで私達はこれから鬼と戦う同志です。さぁ、皆で力を合わせて鬼を退治てやりましょう。」
ついに港にたどり着いた桃太郎は、両氏に船を一艘借り海の向こうの鬼が島へと舵を取りまして。
ついに姿を現した鬼が島には、黒い黒い雲が覆い被さっておりました。
「鬼は一人ひとりは強いけど、我ら皆が協力し合えば必ず勝てる。」
桃太郎が、犬、サル、雉に最後の号令をかけました。
「はい、桃太郎さん。鬼の足にこの牙で喰らいついて見せましょう。」
犬がここぞとばかりに宣言します。
「あっしは、鬼の顔をこの爪で引っかいて見せましょう。」
サルも負けじと声を上げました。
「私は鬼達の目をこのくちばしでつついてやりましょう。」
雉も歌うように声を上げました。
いよいよ鬼が島に上陸です。
まず、雉が飛び掛かって目を潰し、次に犬が足元に喰らいついて動きを止め、さらにサルが鬼の顔を引っかいて、最後に桃太郎が刀で鬼に切りかかりました。
これにはたまらず鬼達はばったばったと倒れて行き、ついに、島に残っていた最後の鬼も倒されました。
鬼を全て退治た桃太郎たちは、鬼が島の奥で今まで鬼達が盗んできた金や銀、綺麗な布などさまざまな物を見つけました。
桃太郎たちは、その鬼達の財宝を船へ乗せて持ち帰り、帰り際の町でまずし人々に分け与えながら、恋しいお爺さん達の暮らす家へと帰っていきました。
その後おじいさん達は、桃太郎が持ち帰った財宝のおかげで桃太郎とお供の三匹と共に幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
作品名:練習用桃太郎 作家名:覡カイリ