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激ニブ星の恋人?

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第二十六話 君が一番



銀時が家にやってきた。
それはいつものことである。
しかし、いつもと違って、その手にはゲーム機があった。
ゲーム機は手帳ぐらいの大きさだ。
銀時は居間に入ってきながらも、そのゲーム機の画面を見ている。
「……なんだ、それは」
茶を飲んでいた桂は湯飲みを机に置いて、銀時にたずねた。
すると。
「ああ?」
ようやく銀時の眼が桂に向けられた。
「オメー知らねェのかァ?」
銀時はニヤと笑う。
「コレ、今、江戸で大流行してんだぜ」
得意げにゲーム機の画面を桂に見せた。
その画面の中には、美少女がいる。
『ねえ、どうしたの?』
笑顔で問いかけてきた。
桂は眼を細めた。
「ラブチョリスか」
即座にゲーム名を言い当てた。
ラブチョリスは恋愛ゲームで、ゲーム内の時間が現実の時間とリンクしリアルタイムで進行し、プレイヤーの彼女となる美少女の反応も現実味があり、このポケットサイズの恋人と片時も離れられない彼氏たちが続出している。
「なんだ、オメー、知ってのかよ」
「ああ。今、江戸の町を歩けば、手に持ったゲーム機を見ながらにやけている男と頻繁に遭遇するからな。それにテレビでも報道されていた」
「へえ」
銀時があいまいな相づちを打った。
その眼はゲーム機の画面のほうに向けられている。
眼だけでなく気持ちもそちらのほうに行っているようだ。
桂は眉根を寄せた。
おもしろくない。
不愉快だ。
桂は立ちあがり、銀時の近くまで行った。
それでも銀時はゲーム機の画面をにやけた顔をして見ている。
ゲームに気を取られている。
そのほうが、むしろ、好都合。
桂は銀時からゲーム機を奪い取った。
「あっ!」
銀時が声をあげるのを無視し、桂はゲーム機の電源を切った。
「なにすんだ、テメー!」
「ひとの家にきて、ずっとゲームをしているのではない!」
怒鳴り合う。
そのあいだに、ゲーム機を銀時に奪い返された。
「あのな、セーブせずに電源を切ったら、彼女が怒るんだよ」
「彼女……?」
低い声で桂は言った。
不機嫌であることを隠さずにいる。
けれども、銀時はそれを気にした様子はない。
「ホラ、見てみろ」
ふたたび電源の入れられたゲーム機の画面を見せられた。
『も〜、銀時くんったら、ひどい』
画面の中の美少女はたしかに怒っている。
さらに、背を向けた。
どうやら、すねているようだ。
「あー、悪ィ、悪ィ」
銀時は美少女に向かって謝った。
すると。
『ゆるしてほしい?』
美少女はちらりと、こちらのほうを向いた。
そして。
『じゃあ、十回、キスしてよ』
恥ずかしそうに頬を赤らめて言った。
直後、銀時はあきらかに興奮している様子になった。
桂を無視して。
すっかり彼女に夢中であるらしい。
作品名:激ニブ星の恋人? 作家名:hujio