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君といる・・・

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※PROLOGUE※

あの頃、オレ達はまだ、将来のことなんて全く考えていなかった。
お互い、楽しけりゃそれで良かったし、それが続くと思っていたから。

でも、それは一時の幻だった。とても薄く、儚い夢だったんだ。



※ 1 ※

「さっむ・・・」
冷たい強風が吹き、思わず両肩に力が入る。厚手のPコートにマフラーをしていても、寒さが身に染みる。こんな中で、スクールバスをあと10分程待つことは、寒がりのオレにとっては軽い拷問だ。
「うぅーーー・・・・」
寒さのあまり、思わず低い唸り声が出てしまう。そんなオレの声に、前に並んでいた学生が振り返る。

現在時刻、16時ちょうど。本来なら帰りのスクールバスが来る時間だが、渋滞にはまっているようで、いまだ来ない。外の寒さに耐えかねて、何人かの学生は構内のカフェや食堂に避難していた。
オレもそうすれば良いのだが、スクールバスの中で座席を確保するには、しっかり並んでおかないといけない。だが、やはり寒いものは寒い。
「ったく・・・早く来いよ、バス・・・・」
ブチブチと文句が出てしまう。
ふと、自分の後ろに大きな気配が生じた。それと同時に、先ほどから背中から吹き込んでいた冷気が遮られた。
振り返ると、そこにはオレを見下ろす巨躯。見上げると、オレを覗き込むようにして見下ろす顔があった。
「恭介、大丈夫か?」
「たぶん・・・」
オレの曖昧な答えに、ふーん、と返して、そのままオレの後ろを陣取る巨体の持ち主。この冷気なんて、どこ吹く風だ。
肩からはエナメルのスポーツバッグ、足元はバッシュ。服装もジャージという、いかにもスポーツマンといった風情だ。そこまで確認して、ふと気づく。
「智也、お前今日部活は?」
そう、この時間なら、まだまだ部活動はしている時間のはず。にも関わらず、巨体の榊智也はオレの後ろでバスを待っている。
「ん?今日はなしになった。」
「はぁ?」
聞き返しても、特に答えることなく黙殺される。少しムカついて蹴ろうとしたが、ただでさえ寒さに耐えている自分w動かすことは、極力避けたかったので、躊躇った。
そこに、ちょうどスクールバスが到着し、オレは前を向き、智也とともにバスに乗り込んだ。
話を聴くのは、それからだ。
作品名:君といる・・・ 作家名:kaito