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君のいる場所~第二章~【二話】

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【二話】



廊下_


アリサとルイは、窓から外を眺めていた。
そして、ある異変に気がつく。

「雲行きが怪しくなってきましたね」

空には灰色の雲が全体に広がりかけていた。
次第に雷の音も聞こえてきて、風も強くなり始めている。

「来るときは、あんなに天気がよかったのに…」

アリサは、気持ちが沈んでいくのを感じた。
それは、天気のせいなのか、カナデがマリナに連れて行かれたからなのかは分からない。
ただ一つ言えるのは、いい気分ではないということだ。

「おーい、アリサ、ルイ!」

二人の耳に、聞き覚えのある声が響いた。
声のした方を向くとそこには、こちらに駆けてくるカナデの姿。

「カナデ様!」

アリサは、思わず名前を叫んでしまった。
たった数十分離れていただけなのだが、アリサにとってはそれがとても長かったらしく、ほっと胸をなでおろし笑顔を見せる。

「アリサ、喜びすぎですよ」

苦笑いを浮かべるルイ。
そう言われ、アリサは我に返り少し頬を赤に染めた。

「すいません…」

だが、嬉しいものは嬉しい。
緩んでしまいそうになる口元を引き締めカナデを待つ。
そしてカナデが二人の前に立つと、目を輝かせながらアリサの腕を掴んだ。

「早く、外に行こう!ほら、ルイも行くぞ!」
「…残念ながら、それは無理です、カナデ様」

駆け出そうとする二人を引き止めるようにルイが言い放った。

「え、何でだ?」

カナデはルイの顔を見上げきょとんとしている。

「外を、ご覧ください」

カナデを促すようにルイは窓の外に視線を移す。
カナデは外の様子を見た瞬間、悲しそうな表情をした。

「そんな…どうしてこんな時に嵐なんて来るんだよ…」

そう呟くと、掴んでいたアリサの腕を離しため息をついた。
アリサはそのカナデの横顔を見ては泣きそうな表情をしてルイを見る。
するとルイはしゃがんでカナデと目線を合わせ微笑んだ。

「この様子じゃ、今日中にジル王国に帰るのは困難でしょう。きっとフラン様はここに泊まることを勧める筈です。大丈夫です、明日にはきっと晴れますよ」

その言葉の意味が理解できたのか、カナデはまた目を輝かせる。
ルイは立ち上がり、優しく二人の頭を撫でた。
二人で笑いあっているのを眺めながら、一人の女性を、ルイは思い出していた。

「貴女ともう一度、一緒にすごしたいです」

ルイは無意識にそう呟くが、カナデとアリサには聞こえていなかったらしく、二人の笑い声が、広い廊下に、ただ響き渡っていた。