小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

三匹の子オオカミと一匹の大ブタ

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 ふとオオカミ兄弟たちが大ブタのほうを見ると、立ち上がり、崩れたレンガをまた積み上げようとしているところでした。ひどく不器用な手つきで、一個一個、レンガを積み上げていきます。

「でもこわしたじゃん。同じだよ」
「そうだよ兄貴。同じさ」
「ばか。おまえら。お兄ちゃんもばかだけどな、まっすぐなばかだぞ。このブタも、まっすぐな大バカだ。末っ子。おまえはばかじゃないけど、お兄ちゃんよりずっと頭もきれるけど、なんだか、まっすぐじゃないぞ。うまく言えないけど、お兄ちゃん、おまえたちにはまっすぐな道を歩いてほしいって、思ってんだぞ。わかるか」
「わからん」
「わからん」
「仕方ない。またお兄ちゃんがしっかり教えてやるか」
「また三匹で住むの?」
「お兄ちゃんから言い出したくせに?」
「うるさい。おまえらがちゃんとわかるようになるまで、みんなで暮らす」
「ぼくの借金は?」
「ぼくのも!」
「お兄ちゃんが働いて返してやる。だから心配するな」

 そのとき突然、さっき大ブタが落ちたときにできた大穴から、クジラの潮吹きみたいに、ものすごい勢いでお湯が噴き出してきました。そしてあっという間に、その辺りには天然温泉ができあがりました。

「温泉だ!」
「天然温泉だ!」
「でかしたぞ、ブタ!」
「ブウ」

 こうして温泉を掘り当てたオオカミ兄弟は、温泉の近くに旅館を建てて、大もうけしました。そして大ブタはというと、オオカミ兄弟に温泉を掘り起こして富をもたらしたという噂が広まり、「大ブタを見たものは幸せになれる」「大ブタに触ればお金持ちになれる」「大ブタの声を聞くと頭が良くなる」と言われるようになって、旅館のマスコットキャラとして一躍人気者になったのでした。

「ブウ、ブウ」

 大ブタが鳴くと、客たちはみんな喜びました。ばかで、食いしんぼうで、嫌われ者だった大ブタは、みんなが喜ぶのを見てブウブウ、ブウブウと、幸せそうに鳴くのでした。