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白い花

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隣で白いサザンカが枯れたりまだ咲いていたりしているのを俺は適当に眺めながら駅までの道を歩く。たまに真っ白で結構でけぇ蛾がサザンカに混じってとまっているものだからそれに気付くたびにびっくりする。先週からひいた風邪がまだ長引いていて喉が痛い。そのいがいがした痛みと禍々しい蛾の存在が自分の中でリンクして、さらに普段着る事のないスーツの着心地の悪さとあいまって気持ち悪いんだか気持ち良いんだがよくわからなくなっている。
駅に着くと中原が改札の前にいて、俺に気付くと片手を少し動かして「おっす…」と言ってきた。「よっす」と俺が返すと。顔をくしゃっとして笑った。
「マジ寒ぃ、俺高校んときの友達と会うのすげー久しぶりかも」
「あ〜、風邪ひいた?」
電車で名駅まで行く途中会話は殆どなくて、友達の結婚式でもなけりゃ名古屋なんか来ねぇよなと思いながら土曜の喧騒に嫌気がさしてやはり家で大人しくしているべきだったかと後悔した。
名駅から式場まで歩いていると中原が「ははっ、マジあいつ笑えるわ」と言って俺が「は?」と訊き返すと。中原は先週も新婦とセックスしたばっからしくてどいつもこいつも中出ししまくってるから腹の中のガキが誰の子供かも分からんという内容の事を話した。「え、マジ?」とか相槌を打って聴いていたけれどハメ撮りの動画を見せられると流石にこいつの悪趣味さと新婦の自由奔放加減に本気で笑ってしまった。
「うっわ面白え。来て良かった〜!」と俺が喜んでると中原が急に真面目な顔して見てくる。何でかわからんが怒ったのかと思って「え、何?」と訊くと「お前袖になんか付いてるぞ」と俺の袖を指差した。蛾だった。すごくびっくりした。
作品名:白い花 作家名:john smith