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アナザーワールドへようこそっ!  第一章  【011】

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  【011】



 俺とシーナは、最初の場所からさらに森の奥へと進んでいた。

 その方角からは、先ほどから「男」と「女」の声が聞こえてくる。


「な、なあ、シーナ」
「ん? どうした、隼人?」
「俺って、もうすでに『媒介役(メディエーター)』の力が使える状態なんだよな?」
「? ああ、そうだが、それがどうした?」
「い、いや、どうした、て……その……『力の出し方』知らないんですけど」
「…………あっ! 忘れてたーー!」

 少し、慣れました。

「お前マジかよ~。どうすんだよ、今、敵が襲ってきたら……」
「だ、大丈夫。難しくないから! い、今、歩きながら教えてやるから、だから、ま、まあ、大船に乗ったつもりで、な?」

 全然、その『大船に乗る自分』が想像できませんでした。

「いいか、隼人。基本的にはこの『力』の使い方は『イメージ力』だ。お前が『こういう力を出したい』と具体的にイメージすれば、それが『具現化』される……これが『発動条件』だ」
「イメージ……?」

 正直、ピンと来なかった。

「いいか、まず……『左手の平』を広げてみろ」
「? 左手の平?」

 俺は、言われたとおりに「左の手の平」を広げた。

「よし。では、そこに……そうだな……例えば、『燃える火』をイメージしてみろ」
「『燃える火』……?」
「ああ。今、お前の『手の平の上に燃えている火がある』というイメージだ」
「わ、わかった……」

 そうして、俺はシーナの言われた通りにイメージしてみた。すると……、


 ゴゴゴオオオオオッッッ!


「う、うわあーーーーっ!」

 見ると、俺の『左手の平』から、約10メートルほどの「火柱」が出て、あたりが一瞬にして明るくなった。

「バ、バカッ! やり過ぎだ! もう少し『火の長さ』を『イメージ』で調節しろ」
「ご、ごめん。わ、わかった……!」

 そう言われて、俺はあわてて「火柱」を「10メートル」から、すぐに「10センチ程度」まで下げた。

「このバカッ! いきなり、あんな『でっかい炎』イメージするやつがあるかっ!」
「い、いやーこういうのはハデでわかりやすいのがいいかな……なんて、ハハ。で、でも、まさか本当に出るとは……」
「ま、まあいい。で、でも……それにしても……」
「んっ?」
「隼人…………お、お前、なかなかやるじゃないか!」
「……えっ?」
「いくら『媒介役(メディエーター)』になったからって、最初の内は、あんな『10メートルの火柱』なんて出せるものじゃない。せいぜい良くて1メートルくらいだ。それに……それに、今の『炎の調節』にしてもあんなすぐになんて……できないもんだぞ」
「あ、そ、そう……?」

 えっ?

 シーナが…………俺のこと、褒めてる?

「う、うむ。ま、まあ、でも、あんまり調子に乗ってこの『力』を使い過ぎると『大変なこと』になるから気をつけろ」
「……大変なこと?」
「うむ。この……『神通具現化(ディバイン・フォース)』に頼りすぎて消耗し過ぎてしまうと、『ある力』が働き、お前の『媒介役(メディエーター)』そのものを消失させようと迫ってくる」
「『ある力』……?」

 す、すると、シーナが顔を真っ赤にして、

「と、とにかく、その話は後で説明する! とりあえず『力』の使い過ぎにだけ注意しろ、いいなっ?!」
「で、でも、どれだけ消耗したかなんてどうしたらわかるんだよ?」
「さっき『右手の甲』に浮かんだ『六芒星』があるだろ? それを『左手の平で火を出した状態』で見てみろ」
「? あ、ああ……」

 そう言われて『左手の平で火を出した状態』で『右手の甲』にある『六芒星』を見てみた。すると……、

「ろ、『六芒星』が……光ってる」

 隼人の『右手の甲』にある『六芒星』は青白い光を煌々と放っていた。

「うむ。この『六芒星』は力を使っているときこうして光る。そして、この『六芒星』の光は、力を使えば使うほど、どんどん弱くなっていき、最後には…………消える。そして、『六芒星』の光が消えたとき、それは、『お前の力が失われた』ということになる」
「な、なるほど……」
「だから、力を使うときは『六芒星』に注意するんだぞ、いいな?……とりあえず『ちょっと光、薄いかな~』なんて感じたら『力』を使うのはやめろ。じゃないと……『あの力』が発動して大変なことになるからな」
「『あの力』……? シーナ、さっきから何々だよ、『あの力』『あの力』……って?」

 シーナは、少し顔を赤らめて、

「う、うむ、そうだな、やはり、これも今のうちに言っておいたほうがいいかも、だな。実は……」


「う、うわあーーー! た、助けてーーーー!?」


 すると、その時、森の奥から『男性』が怯えた様子でバタバタと『何か』から逃げるように出てきた。そして、


「くぉらーーーっ! 待ちなさーい!」


 と、今度は、森の奥から『女の子』が、いきおいよく出てきた。


……『ドスの利いた声』を響かせながら。


 見ると、『女の子が男性を追いかけている』という変な構図だった。


 その時、女の子が男性に右手の平を向け、呪文のようなものを詠唱した。


「火を司る神々よ、我が命に応じて発現せよ……火炎の槍(フレイム・スピア)!」


 すると、右手の平から『槍のような鋭い炎』が男性に向かって放たれた。


「うぎゃっ……!!」


 男性に、その炎がモロに当たり、火を消そうと地面にゴロゴロ転がっていた。

 俺たちは、その光景を見て、ただただ……唖然としていた。


「な、なあ……シーナ?」
「な、何よ、お兄ちゃん……」
「何か…………話と違くね?」
「う、うむ。これは、どう見ても……女の子のほうが男を蹂躙しているように見える、な」

 と、俺とシーナがボソボソと話をしていると、

「んっ? あんたたち、ここで何してんの? あれ? もしかして迷子? だったらアタシが町まで送っててやるよ! でも、その前にちょっと待ってて……この『ろくでなし連中』にちょっと『お灸』を据えないといけないからっ!」

 と、『元気ハツラツ少女』は、ハツラツに、一方的に、そう答えた。

「あたしの名前はアイリ・カールトン。そこの町の教会がウチなの。あんたたち『旅人』っぽいからウチの教会に泊まっていきなよ。あっ! あと『食事』も出るからさ。それじゃ、ちょっと待っててっ!…………おおおおりゃああああーーーーーっ!」

 と、『元気ハツラツ少女』は雄叫びを上げながら、残りの「ろくでなし連中」に向かっていた。

 いやはや、まったく頼もしいものである。


「な、なあ……シーナ」
「……な、何だ?」
「こ、これってさ……」

 と、俺がシーナに言う前にシーナは俺の口に手を持っていき、

「言うな、隼人。いいんだ……これで良かったんだよ。とりあえず、『神父の娘のアイリちゃん』が元気であることに間違いはないんだから……」
「で、でも……あの子…………ちょっとやり過ぎじゃ……」

 森の奥を見ると、アイリは、残り三人の「ろくでなし連中」にさっきの「炎の槍」をバンバンお見舞いしていた。