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DESTINY BREAKER 一章 5

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「そんなこともあったよなぁ。」
桜花は遠くを見るように目を細め、過ぎ去った日々を思い出した。
夏樹と再会した後の中学校生活はただ楽しくて、電光石火の速さで過ぎていった気がする。
いつも隣に笑顔があって、自分の名前を呼んでくれた。
文化祭、体育祭、修学旅行、考えればいつも一緒にいた気がする。
それがあたりまえと感じることがどれだけ幸せなことか。
今日の雪が降ったときのように、夏樹が私の力に関係するようなことを口にして肝を冷やす思いも何度かあったが、それも二言目に続く夏樹の言葉で最終的には自分の早とちりだと思い知らされた。
私がこんな力を持っていると知られたら夏樹はそれでも友達でいてくれるだろうか。いや、考えたくない。そんなこと。
例えこの力を失っても夏樹や大切な人が傍にいてくれれば私は幸せを感じることが出来るのだから。
「お・う・かちゃぁぁぁぁん!」
そう、いつもこうやって・・・って!?
振り向くと夏樹が雪の上とは思えないほどの速さで追いかけてきた。
雪上をものすごい速さで手を振りながら笑顔で走ってくる女子高生という姿は周りの人から見ればそれは不気味なものである。
ほら、みんな奇異な目をあなたに向けているよ。
「止まってるから、歩いておいで!」
危なっかしくて忠告したのだが、その瞬間
「えっ?あっ!」という短い悲鳴とともに夏樹はステンと足を滑らせ大きな音をたて地面に尻餅をついた。
「だから歩いておいでって言ったじゃない。」
引き返して夏樹に手を差し伸べると
「ごめんなしゃい・・・。」
と恥ずかしそうにしながら桜花の手を掴み立ち上がった。
「大丈夫?怪我とかない?」
「うん!桜花ちゃんのおかげでパーフェクツ、だよ!」
夏樹は意味不明なことを言って空いたほうの手の親指を立て自分の無事をアピールした。

「くまさんパンツまでぐしょぐしょだよぉ。」
お母さんに怒られるよと言いながら夏樹は桜花の横に並んで歩いていた。
それにしても柄まで言わなくても良いのではと桜花は一瞬思った。
「そういえばナツ。委員会どうしたの?」
顧問の先生が教えてくれた終了時間を考えると少し早い気がして桜花は聞いた。
「逃げ・・・用事ができたからとか言って先生が早めに切り上げてくれたんだぁ」
なぁんだ、そうだったんだ・・・とはいかない。
「ナツ。『逃げ』って聞こえたけど。」
作品名:DESTINY BREAKER 一章 5 作家名:翡翠翠