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アナザーワールドへようこそっ!  第一章  【010】

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「いやいやいやいや……おかしいだろ、お前っ! 順序、逆っ! 契約も何も、そもそも、どうしてそんな大事なことを『カプセルを飲む前』に話さなかったんだよ? そんな大事なことなら『利己的欲求(エゴ)』くらい自分で選ばせろよっ! そんな契約……ただの『詐欺』じゃねーか!」
「さ、詐欺だとぉー! 失敬なっ! わたしはお前に少しでも楽して『媒介役(メディエーター)』になってもらおうとだなー……け、けっして、『『色欲の封印』のほうが面白そうだから』なんて動機でやったわけじゃ、な、ないんだからねっ!」


 シ、シーナさん……本音が漏れてますし、ツンデレ風な言い方になってますし、あと、ツンデレの使い方も間違ってますよ。


「あっ! 忘れてたーっ!」
「!……な、何、何、なによっ!? もう勘弁してくれよ! まだ、何かあんの?!」
「あのな、隼人、実は……」

 これ、また、すごーく「嫌な予感」がした。

 そして……またもや「的中」した。


「わたしの『媒介役(メディエーター)の力』は、ここ(アナザーワールド)では封印されてるから……」


「……えっ?」


「でも、大丈夫っ! この先、何かと戦うことになってもわたしは『アドバイス』でサポートするからっ! だから、何か、わからないことがあったらいつでも聞いてくれ、何でも答えてやるぞっ!…………わたしの知識と『メモ帳』に書かれている範囲であればなっ!」

 いや、何でもじゃ、ないじゃん!

 いやいやいやいや、ちょっと待て。落ち着け、俺。今、ツッコむところはそこじゃねえ。

「なので、何かに襲われたときは全力でわたしを守るように、以上……………………あとは頼んだよ、お兄ちゃん」
「お兄ちゃんじゃねえ! て言うか、お前…………本当に、力使えないのぉー?」
「うむ。ここでは使えない。『仕様』だ」
「うるせーよっ!『仕様』とか言うなっ! で、でも、さっきお前、おじさんに魔法が見られると困るって言ってたじゃん?!」
「ああ、あれか……? あれはだな、『お前の媒介役(メディエーター)の力を見られるのは困る』という意味だ」
「は……はあぁあぁぁぁあーーー?? じゃ、じゃあ、お前、自分の力は使えないのに、神父には娘さんを助けに行きますとか、おじさんには足手まといだから、とか言って帰しちゃったわけ? 何の『アテ』もなかったわけ?」
「いやいや、だから、『アテ』は隼人……いやさ、『お兄ちゃん』だったってこと。それでー、そうなると、おじさんがいたままだと、お兄ちゃんの『媒介役(メディエーター)』の力を見せてしまうことになるでしょ? そうなると、力を使えなくてアンリちゃんを助けることができないじゃない? だから、おじさんには帰ってもらう必要があったの? わかった?」

 シーナにとって、この口調が『妹』なのかは知らんが、その『妹設定のキャラ』で説明した。

 うぜー。

「あ、そっかー、わかった!………………て、なるわけねーだろ!」

 ノリツッコんでみました。

「お前、話、擦り替えるなよ。お前のその言い方って……『俺が媒介役(メディエーター)になって戦う前提』じゃねーかよ! お前、もし、俺が『媒介役(メディエーター)なんてならない』って言ってたら、どうするつもりだったんだよ?」
「ああ、それなら大丈夫だ……どんな手を使ってでもこの『カプセル』をお前に飲ませるつもりだったから」
「……………………」


 ガチョーン。


 そりゃ、出ますよ…………「昭和のギャグ」も。


 つまり、俺は……「どっちにしろ、この選択しかなかった」て、ことかよ。


 まったく、やり方が「ブラック企業」並みだな、おい。

 それにしても、こいつ、とんでもねーな。

 自分で言ったことはすぐ忘れるし、おバカだし、そして……、

「自分が面白そうと思うことなら、俺よりも優先しやがるしっ!」。


――とは言え。

『色欲(性欲)の封印』…………か。まあ、確かに、こんなシーナに俺が欲情するなんてこと、今後、まず『無い』だろうし、最初は、すごく不安だったけど、よく考えてみればシーナの言う通り『あり』なのかもしれないな。なんせ、『色欲の封印』は我慢するのがラクな上、『神通具現化(ディバイン・フォース)』を引き出す力は、封印する五大欲の中では一番高いらしいし……。そう考えると、確かに『一石二鳥』なのかも知れないな。


 まあ、『シーナの言う通り』になるのが『シャク』だけど。


「はー、わかったよ、シーナ。『色欲の封印』……何とか我慢して『媒介役(メディエーター)』として、このアナザーワールドで頑張ってみるよ」

 と、俺はシーナに『納得してないけどしょうがないから』という『大人の対応』を見せ、あわよくば、今後の『貸し』にでもするつもりな態度で、そう答えた。

「そ、そうか? い、意外と物分りがいいじゃないか。やるな、隼人。少し見直したぞ」
「ふっ……まかせとけ」


――二人は、このときの『色欲の封印』の選択を、後に、深く後悔することとなる。

 そして、それは、隼人やシーナ、また、この先関わってくる女の子たちすべてをも巻き込んでいく。


 この先、訪れる「女難の元凶」はすべて、このときの「色欲の封印」という「神との契約」から始まった。