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君のいる場所~第一章~【プロローグ】

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【プロローグ】


ある日、彼が私に問いました。

「オレがいなくなったら、お前どうする?」

何故そんなことを聞くのか、その時は理解できませんでした。
今となっては、どんな思いでそれを私に聞いたのか分かりません。
だけど、彼が私の前から姿を消したとき、もうやることは決まっていました。
それが私の、務めだったから…。


十年前_

「おい!」

勢いよく部屋の扉が開き、一人の少年が姿を見せる。

「カ、カナデ様!?どうなさったんですか?」

部屋の中にいた少女が、びくりと肩を震わせ、少年、カナデの方を見た。

「外に行くぞ!アリサ!」

カナデは、少女、アリサの手を引き部屋の外へ連れ出す。

「だ、だめですよカナデ様!見つかったら国王様に怒られます!」

アリサが止めるのも聞かず、ずんずんと廊下を歩いて行く。
そして振り返り、無邪気な笑顔を見せた。

「そんなの、見つからなければいいことだ!」
「またそんなこと言って、この前だって見つかったじゃないですか!」

引き止めるが、カナデは止まろうとはしない。
そのままアリサをつれて向かったのは少し薄暗い、静かなところ。
あまり手入れもされていないことから、使われていないことが分かる。

「ここに穴を見つけたんだ。丁度オレたちが通れるぐらいの小さな穴」

見ると、本当に子どもが通れるような小さな穴があった。

「でも、ここが外に通じているかは分かりませんよ?」

アリサが心配そうにたずねる。
だがカナデは、口元を緩め楽しそうな笑顔を作った。

「それが楽しいんだよ。それでこそ冒険なんだ。ほら行くぞ!フードは被って行けよ」

カナデはフードを被り、穴をくぐり奥へと進んで行く。
流石に、カナデを一人には出来ないため、アリサも仕方なく後を追う。
しばらく暗い道のりが続いたが、やがて小さな光が穴の中を照らした。
そこを抜けると、街をも見下ろせるような高い丘に出た。
そよそよと風も吹いており、気持ちがよい。

「久しぶりの外だ…」

カナデが目を輝かせ、そう呟く。

「キレイですね…」

アリサも見とれてしまうほど、そこからの眺めは最高のものだった。

「…よし、下へ行くぞ!」

カナデはそう言って、丘を駆け下りて行く。

「あ、カナデ様、待ってください!」

アリサも、カナデの後を追い駆け下りる。
二つの小さな背中が、街へと消えた。


ここは、「ジル王国」。
大きな城が、勇敢にそびえ立っている。
それを囲むようにたくさんの街が集まり、今や「最強の国」と呼ばれている。
カナデは、この国の国王であるダージス国王の一人息子。
アリサはカナデの世話役。
この二人の、数十年に渡る物語が、今幕を開けた…。