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場末じみた場面

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かつて、あの家には父親と母親、生意気な弟と、幼い私が居た。
一つのショートケーキを半分に割って弟と分けた。
弟は「おにいちゃんのほうが大きい」と言って泣いた。
父親に「取り替えてやれ。お兄ちゃんなんだから」と言われ、
私は「なんで、弟ばかり可愛がるのだ」と反発した。
母親は「ケンカするんだったら、二人ともあげないよっ!」と怒鳴った。
なんと賑やかな、賑やかな日々だったのだろう。

店の外ではまだ雨が降っている。しかし、夜が明ける頃には雨は上がるだろう。
場末のスナックで、ママの話に耳を傾け、私は、静かに、深く、酔っていった。
場末じみた場面で、夜は深けていった。彼女の話は、まだまだ、続きそうだ。
かまうものか。夜は長い。
作品名:場末じみた場面 作家名:Takeo Kawai