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アナザーワールドへようこそっ!  第一章  【008】

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  【008】





「……魔法使うところを見られたくなかった?」


 俺は改めてシーナに聞き直してみた。

「ああ、そうだ。そのために、あのおじさんは帰した…………それよりも」
「?」
「ハヤト、お前、わたしとの『兄妹』という設定には突っ込まないのだな…………やはり『妹属性』だったか」
「な……そ、そんなことねーよっ! それはそれで突っ込むところではあるが……それ以上に、神父さんの娘を助けにいくというお前の『爆弾発言』でそれどころじゃなかったんだよっ!」
「本当か~?」
「本当だっ!」

……まあ、『お兄ちゃん』と呼ばれるのは、やぶさかではない。

「でも、何でまた『兄妹』なんてウソついたんだ?」
「まあ、『兄妹』としておいたほうがいろいろと都合が良いと思ってそうしたんだ。男女二人で旅をするとなると、まあ、今回みたいに聞かれることもあるだろうからな。『友人』だといろんな場面で都合が悪くなるような気がしたし、『親子』だと見た目近い年齢だから無理だし、『恋人同士』なんて、ただただ気持ち悪いだけだし……となると『兄妹』という選択肢だけが残されたのだが……まあ、まだ何とかギリギリの、寸でのところで、感情を押し殺して、何とか、何とか、耐えられると判断したのでな……」

 サラッと、最初と変わらないシーナの『毒舌』ぶりに、むしろ、さっきまでの『妹キャラ』よりもホッとした俺がいた。

 俺は『M』なのかもしれないな。

「ただ、まあ……こんなところではいいが、基本、人がいるところでは『兄妹設定』で行く予定だから隼人もそのつもりでいろ、いいな?」
「……もう好きにしてください」


 俺は、シーナに『まな板の鯉』よろしく『敗北宣言』をした。


――閑話休題。


「さて、それでは早速、本題だが…………」
「そ、そうだ。お前、『魔法使うところを見られたくなかった』って言ってたけど、使えるのか?『魔法』?」
「んっ? まあな」

 シーナは、あっさりと認めた。

「ほ、本当かよ! そんなこと一言も言ってなかったじゃないか!」
「だって、今の今まで、お前聞かなかっただろ?」

 あっ。

 ま、まあ、確かに……そうだけどさぁ~……、でも、

「で、でも、お前、最初、『メモ帳』を見て『この世界には魔法があるんだな~』なんて言って、このアナザーワールドに『魔法』があるなんて知らなかったじゃないか!」
「ああ、そうだ。だから言ったろ?……『魔法使うところを見られたくない』と」

「?! ど、どういうこと?……」

「つまり、だ…………『わたしが使える力は、そもそも『魔法』ではない。だからだから、誰かに見られると面倒になる』ということだ」
「はっ……?」

 シーナは、「はぁ……」と一息、ため息を付き、

「頭が鈍くて、弱くて、浅くて、悲惨で、無秩序で、回転力に欠け……」

 も、もう、そのくらいにしておいてください。

「そんな隼人に、わかりやすく言うとだな……わたしの使う『力』は、『神の力そのもの』ということになる」
「!?……か、神の……力?」

 シーナは、再び「はぁ……」と一息、ため息を付き、

「頭が鈍くて、弱くて、浅くて、悲惨で……」
「わ、わかった、わかったから……俺はそれだけの説明じゃ理解できないバカだから、もっと詳しく説明してください」

 もう完全にシーナさんのペースです。

「『神の力そのもの』……それは、わたしがこの世界(アナザーワールド)で『神の力』を『具現化』するまでの『一連の流れ』で説明したほうがわかりやすいだろう」
「『神の力』……?『具現化』……?『一連の流れ』?」
「うむ。わたしはこの世界で『神の力』を『具現化』するとき、あくまで、この『アナザーワールド』と『神』との間の『媒介役(メディエーター)』でしかない」
「『媒介役(メディエーター)』……?」
「ああ。まあ、『アナザーワールド』と『神』との間の『接点のような存在』ということだ」
「『接点』……」
「そう。だから、わたしが『神の力を具現化する』とは、具体的には、『神の力を『わたし』という『媒介役(メディエーター)』を通じて流し、『アナザーワールド』で『具現化』する、ということになる」
「『媒介役(メディエーター)』……なるほど、そういう意味か。じゃ、じゃあ、それって違う言い方をすりゃ……『シーナ本人が神の力を持っている』ってことではないってことか」
「そうだ。わたしはあくまで『媒介役(メディエーター)』に過ぎない。だからだから、わたしがこのアナザーワールドで『力を使う』ということは、『わたしを通して、神の力を具現化する』ということになる……そして、この力のことを『神通具現化(ディバイン・フォース)』という」


「……神通具現化(ディバイン・フォース)」


 シーナの説明を聞いて、俺は、根拠はないが、すごく納得のいく話に感じた…………何でだろ?

「そう。そして、この『神通具現化(ディバイン・フォース)』は…………お前も使える」
「えっ?」
「だから~……『お前にも、このアナザーワールドで『神通具現化(ディバイン・フォース)』は使える』って言ってんのっ!」
「そ、そうなのーーーーーっっ!」


 わたくし、二ノ宮隼人……一気に、テンション上がりました。

 だって、何かすごくない?『神の力』だよ? 何か、『超能力の親分みたいな力』が使えるってことでしょ?

 俺、その手の話(小説、映画とか)大好物なんですけど。

 と、俺が横でテンションアゲアゲで妄想していると、


「あーすまん。そこの『勘ちがい君』&『話を最後まで聞かない君』……『テンションアゲアゲ妄想中』に悪いんだけど……『いまのお前』には使えないよ?」
「えっ?」
「だから~……『いまのお前』では『神の力』を媒介する『媒介役(メディエーター)』にはなれないって言ってんのっ!」


「え、えええええええーーーーーっ! そ、そんなーーーーっ!」