小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
飛鳥川 葵
飛鳥川 葵
novelistID. 31338
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

いるいる辞典 小細工事件

INDEX|1ページ/1ページ|

 
岡崎にサテライトをまた創る話が持ち上がった。5年前に潰したばかりだというのにだ。全くもって上の考えるコトは分からない。オレはメンバーには入らなかったので一安心だ。女性社員も行くコトになったようで、誰が適任か話し合いで決めるコトになったようだ。
 しばらくして安藤に決まったらしい。人選ミスだと思うが、これや如何に。さやも同意見だと思うので、今度屋上にやってきた時に聞いてみよう。

 その時はすぐにやってきた。さやは文句を言いにというよりは遊びに来たという体だった。聞くべきか少々迷う。考えていると顔を覗き込まれた。
「タベっち、何かあった?」
 ドギマギするからやめてくれ。口が裂けても言えないが。
「いや、聞いていいものか迷ってさ」
「何を?」
「サテライト出向の件、どう思うよ」
「アレねぇ。アイツ、信じられないコトしたよね」
「はい?」
「何、その反応。知らないの? やだ」
「ちょっと待ってくれよ。話し合いでって、違うのかよ」
「これが話すと長くなるんだな」
 そう言いつつも話してくれた。掻い摘むとこういうコトのようだ。
 最初は話し合ったそうだが、なかなか決まらなかったのだという。そこで血迷ったのが安藤だ。行ってもいいという人間がいる中で、全員平等にという意見を持ち出し、何故か仕切り始める。いいと言っている人間の横で平然と「どうですかぁ」と断った人間を口説く。それをされたのが美和子だ。当然の如く怒り狂い、捕まえた人間の端から猛然と抗議の弁を聞かせる。紛糾を鎮めようと無い頭を絞って出した策が「あみだくじ」である。引いたのは安藤。誰がどう見ても不正であろう。公正を期するのであれば、1人1本ずつ線を入れるはずだ。それでも安藤だというのであればおかしな才能の持ち主だというコトになる。だがどう考えてもそんなものはなさそうである。というコトは誰もそんな手を使ってくるとは思わずに、安藤作のあみだくじを素直に引いたコトになる。とんでもない話だ。当の本人は大喜びでDMに報告した。私が行くコトになりましたと。白々しい。
「なぁ、それってさ。アイツがめちゃんこ行きたかったってコトじゃん」
「そうなるね。目的はバレバレだよね」
「顔を売るため、株を上げるため。そんなもんありゃしないってのにな」
「ホントにね。さて、帰りますか」

 後日談がある。この話は立ち消えと相成ったのだ。安藤の小細工は徒労に終わり、目的は果たせずに株は底をついたままである。女性陣のせせら笑いが聞こえたのは気のせいではないだろう。