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飛鳥川 葵
飛鳥川 葵
novelistID. 31338
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いるいる辞典 ブラック企業

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久しぶりにあの喫茶店にランチを食べに行く。カフェというのが正しいのかもしれないが、その違いとやらが分からない。中に入ると声は聞こえるがカウンター席には誰もいなかった。
「久しぶり」
「おう。昨日はさや坊が来てくれたぞ」
「そうなんだ。たまってたのかな」
「文句を山盛り言ってった」
「想像が容易につくね」
 ランチを注文すると煙草に火を点けた。しばらくぼんやりと過ごす。BGMは今日もロックだ。吸い終えて雑誌の見出しを眺める。成長企業TOP 30という文字が気になった。ページを繰ってランキング表を見る。よく知らない会社も載っている中に馴染みのある名前が1つ。目を疑った。だがどう見ても間違いではない。なんでウチの会社があるんだ。表向きは素晴らしい会社になるようだが、一社員から言わせていただくと、ブラック企業である。上司にまともな人間はいない。運営も首を傾げる。何せ支所であるサテライトを創っては潰し、潰しては計画が持ち上がる。D.O.も創ってはサテライトに降格。金の無駄遣いばかりだ。その金をオレ達のサービス残業で作っているのかと思うと。辞めていく連中を引き留められるはずもない。それでも居るオレはなんなのだろう。仕事は仕事だ。給料にボーナスがまともなのだから文句は言うまい。身体が資本なのは確かだが。