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アナザーワールドへようこそっ!  第一章  【007】

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  【007】



「神父さんの娘のアイリちゃんは、わたしと、この……『兄の隼人』が、救出してきて参ります。ねっ、お兄ちゃんっ!」


 シーナはいきなり、神父へ「娘を救出しに行く」と宣言した。

 しかも……俺はシーナの「兄」ということになったらしい。

「お、おいっ! シーナ……?!」

 俺は、慌ててシーナに訂正するようジェスチャーで伝えた。

「……うむ、わかったぞ」
「……そうか」

 ふぅ~、ちゃんと伝わったか。よかっ……、


「神父さんは教会で大船に乗ったつもりで待っていてください……と、兄も申しております」


 い、言ってねーよ!

 そんなこと伝えてねーよ、このバカシーナ!

「ハ、ハヤトさん! 本当ですか?!」

 すると、神父が隼人にすかさず聞いて来た。

「……は、はい?」
「本当に娘を……アイリを助けに行って……くれるんですか?」


 うっ……。

 ど、どうしよう……。

 こ、これは……非常に…………断りづらい。

 だが、ここで「できないことをできる」だなんて無責任なことを言うのは良くない。

 だから、はっきり断らないと……。

 で、でも…………「神父さんの訴えかける目」と「シーナの空気読めよ的な目」が……突き刺さる。

「……ま」
「ま?」

「ま、まかせてください! シ、シーナの言う通り、娘さんのアイリちゃんの救出はボクたちが行きますっ!」

「あ、ありがとう! ありがとうございます、ハヤトさんっ!」
「だねっ! お兄ちゃんっ!」
「は……はは」(涙目)

 断れませんでした。

 いや、無理だろ? この状況下で。

 て言うか、「お兄ちゃん」って言うのやめろっ!

…………。

…………。

……いや、

「お兄ちゃん」はこのままで、いいな……うん。


 それにしてもシーナのやつ、一体、何を考えているんだ?

「アイリちゃんを助ける」ってことは、その「ガラの悪い連中」と「戦う」ことになるかも?……てことなんだぞ? 大丈夫なのか?

 あっ、もしかしたら、あいつ……「魔法」が使えるってことなのか?

 まあ、さすがのシーナも何も「勝算がない」でこういうことは言わないだろう………………たぶん。


 て言うか、そうであって欲しい。


 て言うか、そうじゃないと困る。


 信頼してるぞ、我が妹よ。


「では、ハヤトさん、シーナさん、娘のことよろしくお願いいたします。私は『王立軍』の支局に行って、助けを呼んできます」
「わ、わかりました……」
「はいっ!」

 そう言うと、神父は急いで、教会から出て行った。

「よしっ! んだば、わすが、おめーらをその場所まで案内するどっ!」
「「よ、よろしくお願いします」」

 こうして、俺とシーナは、すぐに「アポロニアの森」へと向かった。




「着きました、ここだど、ここが『アポロニアの森』だ」

 俺と、シーナと、訛りのひどいおっさん三人は、『町の裏側』にあたる『北側の入口』から出て、『アポロニアの森』に着いた。

「け、けっこう……暗いな」

 その森は、かなり深い森で、木々は20mくらいにもなるものばかりだった。なので、まだお昼頃だというのに暗い。

「大丈夫だよ、お兄ちゃん。わたし目が良いから」

 と、さっき『妹』になったシーナ。すると、


「…………!」
「!!…………」


 森の奥から、何やら「声」が聞こえてきた。

「!!……い、今のは、まさか……」
「女の声!……と、男の声だった」
「ああ、たぶん、アイリちゃんだぁ~」

 ごくっ……。

 本当に来ちゃった。

「おじさん、案内ありがと。後は、わたしたちにまかせて、おじさんは神父さんのところに行ってあげてください」
「シ、シーナっ!……」

 ええーーっ!

 どうせなら、おじさんにも一緒に来て協力してもらったほうがいいだろ?

「いやいや……おじさんだって魔法はほとんどダメだけど腕っ節ならすこしはあるぞっ! だから、わすも行ぐって……」

 おお!

 なんと頼もしいお言葉っ!

「そ、そうですか~……ほらシーナ、おじさんもこう言ってるんだし、このまま一緒に……」
「いえっ! わたしとお兄ちゃん、二人で大丈夫ですっ! おじさんはここから離れてください。正直、戦いになったら、魔法が使えないおじさんは……その……『邪魔』になるかもしれないので……」
「お、おいっ……シーナっ!」

 何言ってんだ、このバカ妹っ!

 魔法使えないのは、俺たちも一緒じゃねーかっ!


……違うの?


「……そうか、そんだな。魔法使えないおじさんは邪魔になるかもだな。わがった、おじさんは神父さんとこ行ってぐるな。それじゃあ、二人とも気をづけて」

 そう言うと、おじさんは足早に神父さんのところへ戻って行った。


「おいっ……そこのバカ妹」
「んっ? どうした、お兄ちゃん?」
「いや、どうしたもこうしたも無いだろ! お前どうして……どうして、おじさん帰しちゃったんだよーーー!」

 俺は、涙目で訴えた。


「だって、しょうがないだろ………………『魔法使うところを誰にも見られたくなかったからな』」


「……えっ?」