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春本 美穂
春本 美穂
novelistID. 49342
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ミーシャの冒険 13

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ミーシャの冒険 13

「わー景色が流れるー」
ミーシャの向かい、右側の進行方向を背にした窓際の席に座ったエリカがはしゃぐ
フローラは窓の外には興味がないらしく、頭をミーシャに押しつけるようにもたれ掛かっている。
「煙がどんどん流れていくよー」
エリカはご機嫌だ。
車内は満席であるが、特に歓声を上げるエリカを非難するような眼差しはない。
どこから見ても子供だからではあろうが。

「楽しんでいるようだね」
黒い帽子と黒い制服を着た車掌がミーシャに声を掛けた。
「あ、どうも」
街の定食屋で昼食を済ませた車掌が駅へ向かうミーシャ達と出会ったのはつい先程のことである。
たまたまその時ミーシャから離れて、小さな子供のように走り回っていたフローラが定食屋から出てきた車掌とぶつかって転んだという、何とも間の抜けた出会い方だった。
「色々と親切にしていただいて」
本当のところは手を差し延べた車掌がフローラの笑顔に魅了されて、座席の手配から案内まで勝手にしてくれたとのであるが・・・
「いやいや、当然のこと、工場へは1時間ほどで着くから、それまでゆっくり楽しみたまえ」
車掌はそのまま改札をしながら後方へと歩き去った。

「空気が重いわ」
フローラがぼそっと呟いた
「空気?」
「うん」
「えっと、エリカは何か感じる?」
エリカはきょとんとした表情で首を振った
「エリカの根っこは草原にあるから問題はない、の」
フローラが頭を上げてミーシャをじっと見た。
「でも、私は近くの花たちに影響される。もし、消えることがあったら、花が咲いているところで名前を呼んで。見えないけど聞こえる、から」
「う、うん、わかった」
フローラの謎な言葉が何を意味しているのかはよく分からなかったが、空気が重いと言った意味は何となく体感出来た。景色が少しずつ霞みはじめてきているのだ。
「2人のそばから離れないでね」
エリカが急に真顔で言った、