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春本 美穂
春本 美穂
novelistID. 49342
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ミーシャの冒険 12

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ミーシャの冒険 12

「学校?」
長い白い髪を後ろで束ねた女性が、洗っていた洗濯物を川の水から引き上げて桶に入れると、立ち上がってミーシャ達に向き直った。
「あんたたち、学校に行くのかね?」
「あ、はい、学校にいる子を訪ねて行くんです」
「お嬢様の知り合いでもいるのかい?」
ミーシャは会話が微妙にかみ合っていないことに気が付いた。
「あ、えっと、この街の学校って・・・」
「学校って言えば、ご貴族様なんかの上流の子女を通わせるところさね。中流の子らは良い兵隊になるためのキャンプに入るのが普通だよ。ボーイスカウト、少年偵察兵って言って、軍隊の補助要員として色々活動しているよ」
「私達のように村から出てきた子は?」
「それなら労働キャンプだよ。ああ、そうえいば貧民の子達が住む寄宿舎も学校って呼んでいたねぇ」
「どこにあるんですか、それ?」
「あんたたち、労働キャンプの方へ行くのかい?」
「はい」
「よしときなよ、あんなところに行ったら捕まって一緒に閉じ込められてしまうよ」
「この子の、エリカの姉さんがいるんです」
あくまで架空の姉であるが、攫われた子を探しに行くと正直に言うのは険吞な状況を招きかねない。
「そうかい、まあ、待っていても出てくることなんかないからねぇ」
女性はミーシャ達の左側の丘を指差した。
「その丘を越えると駅が見えるよ。工場に行くと言えば汽車に乗せてくれるから」
「汽車?」
「見たことないのかい?」
「はい」
「真っ黒な、ものすごく大きな乗り物だよ」
「その乗り物に、駅という所で乗れるんですね」
「そうそう、あとは工場のある駅で降りて、駅の人に道を聞くといいさ」
「わかった、ありがとう」
「気を付けてお行き」
ミーシャが会釈すると、フローラとエリカもぴょこんとお辞儀した。