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アナザーワールドへようこそっ!  プロローグ

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「プロローグ」



「ここ……は……どこ……だ?」


 気が付くと、俺は「そこ」にいた。

「そこ」は、フワフワとしていて、何とも「頼りない世界」だった。

「あれ? 俺の身体……透き通って……る?」

「頼りない」のは「世界」だけじゃなく、俺のほうもだった。

 身体が透き通っている……そう、それはまるで……「幽霊」のように。


「やあ。気が付いたようじゃな……二ノ宮隼人(にのみや はやと)」


「だ、誰だっ!?」


 振り向くと、そこには「まばゆい光」に包まれた「人のカタチをした何か」がいた。

「わしは『指導者(ガイド)』というもので、この世界でお前のような『迷える魂』を導く仕事をしておる」

「……ガ、ガイド? ま、迷える魂?」

 なんだ、この老人――て言うか、すごく眩しいんですけど。

 それは「比喩的な表現」ではなく、れっきとした「見た目」の話である。その『指導者(ガイド)』というやつは、あまりにも眩し過ぎるため、顔がよくわからない。だが、しゃべり方からすると「老人」のような感じがした。

 それよりも今、俺のことを『迷える魂』って……?


「単刀直入に言おう…………お前はもう、死んでいるっ!」


「…………」


 どこかで聞いたことのあるセリフだったので、そこは全力でスルーさせてもらった。

「もう一度、言おうか? お前はもう……」
「あ、いえ、大丈夫です。聞こえていなかったってことじゃないですから」
「なんだ、聞こえてたのか? 聞こえてたのならどうしてリアクションを返さない? センスの無い奴じゃ」

 と、老人(じじい)は残念そうな顔をしながら俺に呟いた。

 いや、それは「こっちのセリフ」ですがな。

「ところで、二ノ宮隼人…………お前は今、肉体の死を遂げてここにいる。地球の言い方だと、『死んで幽霊になった状態』ということだ」
「死んだ? 俺が?」
「ああ。お前が」


――正直、特にショックはなかった。


「死んだんだ、俺……」


――そんな、「さっぱり」とした感じだった。


「さて、お前は、これから『新たな転生先』へ移動することになるのじゃが……」
「『転生先』?……何それ?」
「ここは『あの世』と『この世』の狭間(はざま)の世界……皆、ここから死んだ後、また生まれ変わり、新しい人生を送る」
「生まれ変わる? また人間として生まれ変わるってこと?」
「そうじゃ。人間は人間にしか生まれ変わらないからのう」
「そ、そうなんだ」

 隼人は、少し驚いた。

 というのも、何となくだが、死んだら「人間以外の何かに生まれ変わることもある」と思っていたからだ。

「しかし、二ノ宮隼人……お前は、少し、他とは異なる」
「えっ?」
「お前には『ある課題』と、『皆とは異なる転生先』に行ってもらう」
「な……どうして……」
「それは、お前が『死んだ原因』に大きく関わっている」
「えっ?」

 そう……俺は、さっきから「あること」を思い出せずにいた。それは、


『どうやって死んで、俺はここにいるのか?』ということだ。


 それどころか、「生前の記憶」もほとんど無かった。

 知っていることと言えば、「名前」と「年齢」くらいだ。


「し、『死んだ原因』……? そ、そう言えば、俺はどうやって死んだんだ? 全然、覚えてないぞ」
「それが、お前にこれから与える『課題』じゃ」
「えっ?」
「次の転生先に行って、そこで『どうやって死んだのかを思い出す』までが、お前の『課題』となる」
「な、何だよ、それ! 今、教えろよ」
「ダメじゃ。これはお前が『自分で思い出す』必要がある。ということで、その質問はここで終わり。次、同じ質問しても受け付けぬ。これは決定事項じゃ」
「な……なんだよ、それ」

 そう言うと、「指導者(ガイド)」は、すぐさま次の話を続けた。

「次に、お前の『転生先』なのだが、通常、『地球に人間として転生している魂』は次の転生先も地球なのじゃが、今回、お前の転生先は『地球』ではない」

「えっ?」

 さすがに、前世の記憶が無い俺でも「地球に住んでいた」くらいの記憶はあった。

「お前には『アナザーワールド』へ行ってもらう」

「ア……アナザーワールド?」

 俺は、「地球じゃない」というから、てっきり「どこかの星の名前」が出てくるかと思っていた。

「ちなみに『アナザーワールド』は、地球とは『違う次元の世界』じゃ」
「ち、『違う次元』?」

 俺は、こいつ(指導者)の言っている意味がまるで理解できないでいた。

「あー案ずるでない。別に理解しなくても、そこまで『いまのお前』には期待しておらん」

 俺は、こいつを『殴りたい』と思った。

 しかし、そこで「指導者(ガイド)」は俺の気持ちを察したらしく、

「無駄じゃ、殴ろうとしても。どうせ、できないからのぅ」
「何だ……と?」

 俺は、そう言われてこいつを殴ろうとした……が、俺は老人(じじい)を殴ることができなかった。

 理由は、『こいつを殴りたい』というその『気持ち自体』がかき消されてしまったからだ。


「な、何だよ、これ……」


 俺は自分の感情を「自分以外の外部から強制的にかき消された」のを感じ、すごく気持ちが悪かった。

「この世界では、そういった暴力などの『感情』はかき消されるようになっておる。まあ、そんなことは今のお前には関係の無いことじゃ。とにかく二ノ宮隼人……お前にやってもらうことは、『アンダーワールドに転生して、そこで、自分の死んだ原因を思い出すこと』じゃ。これは……」
「『決定事項』……なんだろ?」
「物分りが良くて助かるのぅ」

 お前が言うか、そのセリフを。

「あっ! あと……」
「まだ、何かあんのかよ?」

 俺は「半ギレモード」で問いかけた。

「あと……そのアナザーワールドには『わし』もついていくのでな。よろしく頼むぞ」
「ええっ! なんで? それも『決定事項』ってやつか?」
「そうじゃ。というか、それがわしの『本来の仕事』なのじゃからな」
「どうせ断ったところで、それも『決定事項』なんだろ?」
「物分りが良くて助かるのぅ」
「…………」


 ということで、俺は『自分の死んだ理由』を思い出すため、その「指導者(ガイド)」と一緒に「アナザーワールド」というところに「転生」することとなった。