まっくろでんでんむすめのうた
まーっくぅーろでんでんむすめの
まーっくぅーろでんでんむすめの
まーっくぅーろでんでんむすめの
まっくろでんでんむすめはどこにいる?
へそのなか
へそのなかにいる
くぅーらいくぅーらいへそのなかにいる
まーっくぅーろでんでんむすめの
まーっくぅーろでんでんむすめの
まーっくぅーろでんでんむすめの
まっくろでんでんむすめは何食べる?
まっくぅろやみ
まっくぅらやみ
まっくぅろくらやみたべる
まーっくぅーろでんでんむすめの
まーっくぅーろでんでんむすめの
まーっくぅーろでんでんむすめの
まっくろでんでんむすめが歩くと、みずうみができる
まっくろでんでんむすめが眠ると、やまになる
まっくろでんでんむすめが泣くと、かみなりがおちる
それでいて、だれのおへそのなかにでもいる
わたしは鬱病だった。
鬱のひとは明るいのが苦手だ。
まっくろでんでんむすめも明るいのが苦手だ。
だからふたりはおともだちになる。
くぅーらいくぅーらいやみのそこで、ふたりはしずかに語らう。
ひとの悪口を語らう。
過去にであったひとの悪口を語らう。
それはつらいつらいことだ。
過去のいやなことをみんな思い出さなくてはならない。
それはつらいつらいことだ。
過去はいやなことだらけだ。
だから過去をおもいだすことはつらい。
つらい。
つらい。
だから悪口を言うことは簡単だ。
簡単だ。
簡単だ。
悪口を言うと、まっくろでんでんむすめは「そうだね」とうなずいてくれる。
そうだね。
そうだね。
つらい。
つらい。
そうだね。
そうだね。
だからまっくろでんでんむすめはやさしい。
やさしい。
やさしい。
つらい。
つらい。
そうだね。
そうだね。
やさしい。
やさしい。
わたしはやさしさを必要としている。
「そうだね」と言ってくれる、やさしさを。
それ以外のやさしさは、いらない。
やさしさ。
やさしさ。
いらない。
いらない。
必要としない言葉は、わたしを傷つける。
不必要なことば。
傷つける。
まっくろでんでんむすめさえいてくれればいい。
まっくろでんでんむすめさえ
まっくろでんでんむすめさえ
パソコンを消して、たちあがる。
まっくらなへやのなか。
まっくらなへやのなか。
布団に入って、寝る。
まっくろでんでんむすめは、どこにもいない。
どこにもいない。
どこにもいない。
作品名:まっくろでんでんむすめのうた 作家名:スピルカ