G Generation Guardian
四話・「戦士達の会遇」
[TRAINIG SYSTEM DOUN…]
「ふぅ…」
ハヤトは深く嘆息をつき、操縦桿から手を離す。
ここは艦内に存在する訓練用のシュミレーション・ルームである。操縦席を模した機械を用い、高解像度による立体映像と戦闘時に生じるGを再現することにより、実戦に近い形での訓練を行う事が出来る。
ハヤトは額から滴る汗を拭い、訓練装置から身体を出す。Z.A.F.T.に在籍していた時にも同様の訓練を行っていたが、この装置の「リアリティ」はそれを凌駕していた。
実戦に近い緊張感。胸に手をやると、まだ動悸が治まっていない事が分かる。
「流石は「赤」を着ているだけはありますね。良い反応速度です。」
ハヤトについてそう評価したのはフォックスだった。汗ばむハヤトに対し、彼は全く息を乱す事も無く、背筋を正して立っている。無論、特徴的な柔らかな笑みもそのままである。
「慰めはいいですよ…俺はあなたに「一発も当てられなかった」んですから…」
ハヤトは俯き、フォックスの言葉をはねのける様に返す。
訓練中、自分は出来る限りの全力を出した筈だ。しかし、フォックスに只の一撃の被弾を加えることも出来ず、全敗した。先日の戦いで解ってはいた事であるが、ここまで腕に差があるのだと思うと自分が情けなくなる。
「そのつもりは無かったのですが…。申し訳ありません。…ですが、強いて申し上げるならば、実戦では「教科書通り」の戦いは通用しないという事です。マニュアルに沿った戦いは確かに堅実です。しかし、それを踏まえて「一歩先」の戦いが出来なければ、生き残る事は出来ません。」
「一歩先…ですか。…まだまだ遠そうだな…。」
「ですから、私やノエルがいるのです。努力を重ねれば、貴方も立派な戦士になれますよ。」
落ち込むハヤトを諭すように、フォックスは言葉を掛けた。
すると、ハヤトはまた顔を上げる。先程までの落ち込みを切り替える事が出来たようだ。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん