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春本 美穂
春本 美穂
novelistID. 49342
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ミーシャの冒険 8

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ミーシャの冒険 8

花の香りの中で朝を迎えるというのは気持ちのいいものだ。
そう、朝を・・・
朝??

確か寝る前は洞窟にいたはずなのに、目の前に広がるのは夜明けの空
陽の光が届くところから、ゆっくりと影に色がついていく
頭の上に木がない、という事は草原に移動したんだな・・・
疲れが抜けた感じですっきりとしているのは、多分このふわふわの草ベッドのおかげ

「あ、フローラ」
「はい?」
今度は背後からでなく、目の前から声がして、ミーシャを包んでいた草のかたまりが少女の形に姿を変えた。
「わっ」
本当に抱きかかえられていたんだ・・・
「重かった?」
フローラはお腹の上から右肩の上の方に移動した。
草がさぁっと移動する感触だけで重さは感じない。
上体を起こして向き直ると、
「寒くなかった、かな?」
とフローラは小首を傾げながらミーシャにたずねた。
頷くと、それだけが一番の気がかりだったというように、安心しきった笑顔をミーシャに向けた。

「ねぇ、フローラ」
「はい」
「闇姫や西の神が言っていたことが嘘だとは思えないんだ。けど、他の人が信用するかどうか」
こんなことをフローラに相談してどうなることでもない、と思いながらも
「みな、魔族を恐れているからね、どうしたものか・・・」
フローラはきょとんとした表情で聞いていたが
「魔族を恐れている、の?」
と右の人差し指を口の端にあてながら
「魔族は人をからかうことはするけど、人を殺したり、人から盗んだりはしないよ」
「そ、そうなのか?」
「悪いことをするのは人間、でも都合悪くなると魔族のせいにする」
確かに、どちらかというと守られているような気がする。
しかし、例えそれが正しいとしても、皆に染みついているイメージはそう簡単には崩せないだろう。
「問題は、どうやって魔族ではなく、街に連れ去られたということを納得させるかだけど」
「なぁんだ」
「え?」
「そんなことを心配していたの?」
「そんなことって・・・」
「エリカぁ」
「はーい」
フローラのすぐ隣に風が立ち、草の上に人の形を結んだ。
薄紅色のワンピース、ブルネットのお下げ髪を揺らし、猫のように大きな目はまるでどこの村にもいるいたずらっ子。
「私達に任せて」
フローラがいたずらっぽく笑った。
作品名:ミーシャの冒険 8 作家名:春本 美穂