恋するハイジニーナ
待ちに待った彼とのデート。
この1か月の間、お互いに仕事が忙しくてなかなか会うことが出来なくて、寂しい思いをしていた。
けど、それも今日でオシマイ!
「久しぶりだな」
「そうね」
なーんてご託はどうでもよろしい!
お互いそんな事はどうでもいいでしょ? 付き合い長いんだから、その辺はすっ飛ばして、今すぐキスミー! プリーズカムイン!
「…………」
私の下着をおろした彼が絶句している。
ふふ、そうよね。だって内緒にしてきたんだもん。ちょっとビックリさせちゃったかな?
「……お前、毛、どうした?」
「脱毛したの」
それが何か? と軽〜く返した私。さぁさぁ、驚きはいいからさっさとおっぱじめちまいましょう。
「帰るわ、俺」
「は?」
何? 何を言ってんのこの男は。
「なんでそんな事すんだよ、俺パイパンの女とか無理だから」
「ハァ? 何言ってんの。欧米では当たり前の、最低限の礼儀みたいなものなのよ」
「何に影響されたか知らんが、俺もお前も生粋のジャパニーズだろうが。そんなもん、お前、露骨に見せられても」
「早計! 早計だし早漏だし! あのね、パイパンにした方がね、気持ちがよくなるって説もあんのよ!」
「そうなったら早漏の俺はもっとヤバいだろ!」
「でも、ほら、舐める時とか邪魔にならないし」
あれはいつだったか、私のを舐めた彼が、にっこりと微笑むと、歯に私の陰毛がはさがっていたっけ。あんな悲劇はもう二度とノーセンキュー。
「これを舐める気にはなれん」
「あのね、ご存じの通り私はケツ毛もボーボーだったわけ。もうね、ウンコするたびに、綺麗にふくのが大変だったの。それがご覧の通り! もう快適すぎて快適すぎて」
「お、ホントだ。ケツ毛もねぇ。これはアリだな」
「ケツがいいならフロントだっていいでしょ!」
「よくねぇよ! 全然違う! とにかく、今日はもう俺、無理だから」
そう言い残すと彼は寒風吹きすさぶ中、私のアパートメントを去って行った。
クリスマス、ジングルベルが鳴り響く中、私は一人己の股間と対峙する。
誰も悪くなんてない。
悪い事なんて何もない。
ああ、だけどだけど。
…………寒くて寒くてたまらない。