女性が人を殺す流れ。
その時、とても悲しくなった。
とても愛した人だった。
その彼も今は血だまりの上で寝ていた。
強い風が私のほほをかすめていく。
夜の公園は人がいなくて寂しい。
私は壊れたのだろうか。
涙はすでに枯れていた。
それは数分前に遡る。
「お前の事、愛せないよ。だって大切だって思えないもの」
彼氏にいわれた鋭いナイフのような言葉が私の心に突き刺さる。
「私はいつだって好きっていってたじゃない」
「そう……かな。本当に俺の事好き?」
「もちろん好きよ!」
「じゃあさ、俺の好きなものなにかわかる?」
「え……」
「それが答えなんだよ。お前は俺が好きなんじゃなくて、好きでいる自分が好きだったんだ」
「そんなことない!」
私は前々からポケットにいれてあったナイフで彼の胸の辺りを――。
愛した人に裏切れるとつらいね。
次の人、探さないといけないね?
悲しいけど仕方ないね。
仕方……ない、ね。
また風がふきつけた。
誰も乗ってないブランコがぎこぎこと寂しげな音をたてた。
作品名:女性が人を殺す流れ。 作家名:。。