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母のこと そしてわたし

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年老いた母の面倒を見るのは当たり前のこと
できるだけ自分たちで・・・と
私たち姉妹はそう思っていました。

母の介護のために
わたしも妹もずっと続けてきた
大切に思っている仕事を辞めました。
しかしたった2年でその思いは砕け散りました。
認知症になってしまった母は
今までの母とはまるで違っていました。

幼児教育を専攻した妹は
母を「理想的な教育をしよう!」と
心がけていたのでは・・・と言います。
わたしたちはほめられて育ちました。
怒られた経験はあまりありませんでした。
世間を知らずで何もできない子どもでしたが
素直だったとは思います。

そんな優しい母でしたので
ひがみや疑念、グチグチ言い出すことに
驚きました。
そして深夜徘徊・・・
これは決定的な出来事でした。
徘徊をして何年も見つからない人がいる・・と聞いて
そうなったら困ると思いました。

妹は義父母と敷地内同居でした。
遠方にいるわたしは義母を介護していました。
それでも母と同居しても良い環境でした。
ただ母にとってはどうだろう。
知らない土地に行くなんて・・・

しかしそれよりもっとも悩んだことは
変わってしまった母、変わりゆく母を 
わたしが優しく支えていけるだろうか。
わたしには 自信がありませんでした。
遠距離で母のいる実家に通っているときでも
母の言動に悩み、苦しみ、悲しみました。

数年前に母や義母のためにと
ヘルパー2級を取得して
老人施設で実習もしていたわたし。
でも・・・自信がありません。
そして母に合う施設を探して見学もし
入所を選択しました。

今、妹は週一回くらい見に行ってくれます。
病院にも妹が付き添い、薬も取りにいってくれます。
だから 月一回くらいしか会わないわたしを
母は娘だとは認識してくれません。
妹の顔ばかり見て話をしています。
母と一緒に何度も旅行したのはわたしだけど
今はその辺の知り合いのおばさんと思っているのかも・・・

それでも自宅にいて不安そうにわたしを見て
「あなたはわたしの姉ですか」と言っていた母より
穏やかな笑みを浮かべて、話をしている姿はうれしい
そして悲しい現実がこれからもっとあるのだろうとは
思うけれど、今はなんとか過ごせていることに感謝!


作品名:母のこと そしてわたし 作家名:ゆう