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八峰零時のハジマリ物語 【第二章 014】

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「う、うん、わかった。わたしも頑張ってアマテラス様を探すわ……でも、どうやって見つけるの?」
《フフフ……そこはシッダールタ様を利用させてもらうのだぞ~》
 と、ここでマリアは天使らしからぬ「邪悪な笑み」を浮かべていた。

「そ、そういえば……さっきもそんなこと言ってたけど、アマテラス様はシッダールタさんの恋人みたいなものなんでしょう? だったら会いたいと思わないのかしら?」
《まーそこはちょっといろいろあるのだぞ~。実はアマテラス様はシッダールタ様をすごくお慕いしていて……というより、ちょっと『病的』なくらいの想いの強さがあるのだぞ……だから、それがシッダールタ様にとっては、ある意味で『想いが重いし怖い』という感じになっているのだぞ~》
「『想いが重いし怖い』って……な、何があったの?」
《まー軽いところで言えば、アマテラス様がシッダールタ様をみつけたりするとまずは『求婚』から入りますし……》
「きゅ、求婚……?」
《はい。あと、ご自身の『天界の女王』という権力を最大限に活用して、シッダールタ様を檻に囲おうとしたり……》
「え、ええ~っ! それって、もの凄い職権を乱用してるじゃない! しかも『囲う』って、もうほとんど犯罪じゃない!」
《……それが『天界の女王アマテラス様』その人なのだぞ~》
「な、なるほど、何だかいろいろとすごそうな人なんですね……アマテラス様って」
《はい――正直、これまでのアマテラス様のシッダールタ様に対する行動を見ていると、正直、シッダールタ様に同情する部分もあります》
「そ、そうだったのね……」
《ですが、今はそんなこと言ってられるような状況ではないのだぞ。時は一刻を争うのだぞ。なので、シッダールタ様には『人柱』となってもらいますなのだぞー。神様ですけど……》
 と、マリアはサラッと言ってのけた。
「……よ、要するに、シッダールタさんを『犠牲』にするってことね」
《いえ、『協力』です》
「そ、そう……」

 その日――舞園利恵はマリア・マグダレネという『筆頭従属天使(ファースト・アテンダント)』の怖さを知った。