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でんでろ3
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口は幸いのもと〈第3話 出会い〉

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 まーこと、ゆーこが、警察署の前で、ゆーたを待っていた。もちろん、3人とも事情聴取を受けたのだが、“犯人を全身複雑骨折の病院送りにしてしまった”ゆーたが一番長くかかるのは当然というものだ。
「『本当は、ポケットティッシュに当たって複雑骨折したんです』とは、言えないものね」
「ん~? そうでなくて、説明のつく理由で、私のせいだったとしても、ゆーたは、自分がやった言ったと思うわ」
「どうして?」
「ん~? なんとなく」
「……それって、のろけ?」
「い、いや、そうでなくて」
ゆーこは、顔を赤くした。
「そう、例えば、今日、初めて会ったあなたに対しても、そうするかも? うん、なんか、そんな奴なの」
そのとき、ゆーたが、警察署から出てきた。
「やぁ、お待たせ」
「だ、大丈夫? 過剰防衛? みたいな奴になっちゃうの?」
「いゃ、あいつ、連続キス魔として、この辺でかなりの被害を出していた奴で、普通に捕まえていたら、表彰ものだったらしい。今回は、表彰なしのお咎めなし、プラス・マイナス・ゼロってことにしてくれるって」
「よ、よかったー」
ゆーこは、ホッと胸をなでおろした。

 場所を変えて、近くのマツドナルドハンバーガーにて。
 ゆーたとゆーこは、戸惑い、必死で、目で会話していた。
(嘘ついてるのかな?)
(私たちのクラスに、こんな人いないよね?)
自己紹介を聞いていくと、どうも、まーこは、ゆーたとゆーこと、同じ高校の同じクラスらしい。
「でも、いいなぁ、私にも、あなたたちみたいな友達がいて、“まーらいおん”なんて変なあだ名がなかったら、ちゃんと学校に行ってたかも」
「いたーーーっ!」
ゆーたとゆーこは、思わず、大きな声で言ってしまった。
「ご、ごめんなさい。驚かせて」
「いろんな意味で『いた』もんで……」
「斉藤真子さん、忘れていてごめんなさい。クラスメートの服部裕太です」
「本当に、ごめんね。何度も、会ってるはずなのに、クラスメートの佐藤優子です」
ゆーたとゆーこは、気付いていないが、この瞬間、まーこにとって、ゆーたとゆーこは、「まーらいおんである自分」を知る存在になってしまった。しかし、……。
「『いた』って、言うのはね、君が僕らのクラスにいたって意味だけじゃないよ。僕らが、君のクラスにいたって言う意味でもある。僕たちみたいな友達がいれば学校に来れるって言ってたよね。来てみないか?」
「でも、あだ名が……」
「確かに、学校中に広まった“まーらいおん”なんて変なあだ名は簡単にはなくならない……ムゴッ、ムギーッ、ムグムグ」
ここまでしゃべったところで、ゆーこがゆーたの口をふさいだ。
「はいっ、あだ名は今のでなくなったわ。この人、方向性は、あさっての方、向いてるけど、パワーはすごいから。あとは、自分で、ねっ!」
ゆーこは、まーこに、目くばせした。

 松戸サイエンス高校2年B組担任原田浩平は戸惑っていた。
 長期欠席生徒の斉藤真子が心機一転学校に通うという。年度内、もうほとんど、欠席はできない旨伝えると、それでもがんばるという。それはいい。素晴らしいことだ。しかし、差し当たって、今日問題なのは、本人が、改めて、自己紹介したいということ。
 長欠生が久し振りに登校してきた場合、騒ぎだてず、自然に、がセオリーだ。しかし、今回は、本人の希望。えーい、ままよ。やらせてみよう。

「長らく欠席していましたが、心機一転、頑張って登校しようと思います。今年度いっぱい、もう、ほとんど休めませんが頑張ります。よろしくお願いします。斉藤真子です。私のニックネームは“まーこ”です」