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漢字一文字の旅  第三巻

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十三の一  【星】



【星】、「日」と「生」からなるが、古い字形は「日」ではなく「晶」だとか。
この「晶」は多くの星が輝く形だそうな。これにより、「日」の太陽ではなく、「ほし」の意味になったそうな。
なるほど、いろいろと経緯があるようだ。

さてさて、飛行士でもあり小説家のフランス人、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは書き出した。
おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)、と。

これは1943年アメリカで出版された「星の王子さま」だ。
子供心を失ってしまった大人たちに、この本は新鮮に、いろいろなことを教えてくれる。そのためか世界中で多くの人たちに読まれてきた。

操縦士の「ぼく」はサハラ砂漠に不時着し、小惑星からやってきた王子に出会う。
王子の星は家ほどの大きさで、3つの火山とバオバブの芽、一輪のバラの花がある。
ある日王子はバラの花とけんかをし、旅に出る。

それから数々の小惑星を訪ね、へんてこな大人たちに会う。
自分の体面を保つのに必死な王。
賞賛の言葉しか耳に入らない自惚れ屋。
酒を飲むことを恥じ、それを忘れるためにまた飲む呑み助。
夜空の星の所有権を主張し、その数の勘定に忙しい実業家。
1分に1回自転するため、1分ごとにガス灯を点けたり消したりしている点燈夫。

そして最後に、自分の机から離れたことがない地理学者。王子はこの男の勧めを受け、地球へと向かう。

このような物語だが、多くの名言があり、今もファンが多い。
その中でも、芯となる言葉は――「Le plus important est invisible」(大切なものは、目に見えない)だろう。
つまり、「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」と。
そんな観点からか、「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……」とか、「この子が綺麗なのは、心の中に薔薇を一輪持ってるからだ」とも話してる。

このように心に響かせる「星の王子さま」、出版されて70年が経った。そして、やっとアニメ映画化されるとか。
まことに楽しみなことだ。

いずれにしても、この興業、【星】という字が付くだけに、「図星」、「白星」、「勝星」となって欲しいものだ。