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漢字一文字の旅  第三巻

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八の四  【中】



【中】、旗竿の形だとか。
ならばなぜ真ん中の意味になるのか?
かって軍は左軍、中軍、右軍で構成されていて、中軍の将は元帥として全軍を統率していた。
【中】、この形の旗が中軍の旗だったそうな。

ホツホー、これで長年の疑問、「口」に棒「|」を貫かせて、なぜ真ん中の意味になるのかが解けた。
中軍の旗ね、なるほどと呟くしかない。

そんな【中】、使い方は多くあるが、現代では「真ん中」、「十人並み」、「内側」のおよそ三つの意味となる。
そして【中】が繰り返されれば、「中中」。いわゆる――かなりの様の「なかなか」だ。
「なかなかのやっちゃ」、「なかなかタクシーつかまらへん」とか……、日常会話の中で滅茶苦茶使ってる。

しかし、この「中中」、平安時代にも多用されていたようだ。
源氏物語の若紫に、「髪の美しげにそがれたる末(すゑ)も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな」とある。
意味は、尼君さまの髪が綺麗に切られてる先も、長いのより今風で、なかなかよろしいね、ってことかな。
どうも一千年前も、何でも「なかなか」だったようだ。

しかし、ここで疑問が。
真ん中の意味の【中】を繰り返した「中中」が、なぜ大したものだ、の意味になったのだろうか?
調べてみた。だが答えは見つからなかった。
されども想像するに、【中】は「十人並み」の意味がある。
これを「中中」と重ねて、「十人並み十人並み」と繰り返し、格上げされて、大したものだになった……のかな?

ということで、【中】という漢字、繰り返せば、【中中】大した言葉になるのだ。